今週のコラム バックナンバー(No.10〜No.1)



  No.10 (2001.06.04)   『住宅の1年検査』
 
建物が竣工して1年後に、お施主さん・施工者・設計監理者の3者で点検をしています。
昨日は「子供の成長に追従できる家」の1年検査で、久しぶりにお施主さんとお会いしました。
 不具合は何点かあり手直しをさせていただくことになりましたが、実際に1年間生活されて
どうであったかというお話も伺うことができ、私にとって大変勉強になりました。
図面上で想定していた動線計画は問題なかったか?、収納計画は?暑さ寒さは?音は?
照明は?掃除のしやすさは?仕上げの肌触りは?隣の視線は?などいろいろお聞きする
ことができ新たな発見もあり、またとてもきれいに使っていただいていて嬉しく思いました。
施主のTさん、お世話になりましてありがとうございました。
Y建設さん、手直しの件よろしくお願い致します。
 今日は「ふたつの塔の家」の1年検査を行います。(林 隆)


  No.9 (2001.05.28)   『スタッフの退職』
 事務所の開設以来いっしょに仕事をしてきました清水君が、5/20付けで退職しました。
実務の中で共に考え・悩み・苦労もしてきた仲間と別れるのは残念で寂しいものですが、
今後も建築の仕事に携わっていくわけですので、お互いに技を磨いていきたいものです。
 今まで清水君がお世話になりました、お施主さん・施工者をはじめ多くの方々には厚く
御礼申し上げます。5/26には建築士会の総会がありまして、第5回長野県建築文化賞
/優秀賞(ふたつの塔の家)
の表彰をしていただきました。これも設計から現場監理まで
清水君といっしょにやってきた住宅でした。
 彼は今日松本を去り、静岡の実家へ帰ります。元気で!(林 隆)


  No.8 (2001.05.21)   『諏訪の家』
 昨年の秋から計画していた『諏訪の家』の実施設計が完了しました。
住宅地に建つ3階建ての住宅で、ローコスト・ハイクオリティーを目指しました。
生活していく上で最小限必要な要素を捜し、それらを合理的に組み立て無駄をとことん
排除していくということへの挑戦でもあり、その結果、既成の概念にとらわれない合理的な
平面計画・断面計画を実現することができたのではないかと思います。
 建主との話し合いにより、プラン的な部分や内装の仕上げにおいて、将来作り上げていく
予定の部分も残されています。竣工時が住まいとしての最終形ではなく、時間の経過や
その時々の家族構成によって、”成長する家”と言えるかもしれません。
 前面道路が傾斜しているため、2階が玄関及び生活空間、1階は収納とオートバイのガレージ、
3階はワンルームの部屋という構成で、外壁はガルバリウム鋼鈑スパンドレル。
その姿を現わすのは年末の予定です。(林 隆)


 No.7 (2001.05.14)   『事務所案内のCD』
 林建築設計室は、この春で設立4年目を迎えました。
そこで、今までに手掛けた住宅実例写真集とホームページのデータを収めたCDを作っています。
これから住宅をご計画の方にとりまして、何かのお役に立てていただければと思います。
以前は、希望される方は1ヶ月に1名程度でしたが、4月は3名、5月はすでに5名の方からお申し込みを
いただきました。これもインターネットで情報を収集する人が急速に増えているということでしょうか。
事務所のホームページも常に更新を心掛け、できるだけ新しい内容をご紹介していきたいと考えています。
 CDをご希望の方には無料で差し上げていますので、トップページよりお申し込み下さい。
ご住所も忘れないで下さいね。(林 隆)


 No.6 (2001.05.07)   『教会の落成式』
 5月6日(日)に「円を内包する教会(東京都品川区)」の新築落成式が行われました。
いつものことですが設計監理者にとっては、引渡し後の建物の様子を見せていただいて、また多くの方々に喜んで
いただける、とっても楽しみな日でもあります。
 振り返ってみますと、ちょうど3年前の春に設計がスタートし、設計期間2年、工事期間1年弱のプロジェクトで、
私にとってははじめてのことばかりでした。事務所を設立しまして第1号の仕事であったこと、宗教施設の設計は
はじめてだったこと、そして信州にいながら現場が東京であることもはじめてでした。
そんな状況にもかかわらず、お施主さんのご理解・ご協力と電子メールの活用(約350通の送受信)、施工者の技術、
そして陰で私を支えてくれた事務所のスタッフの力により、予定どおり竣工を迎えることができました。
 教会長先生のお話や、副教会長先生がご挨拶の中で言葉が詰まる様子を拝見し、私も感極まるものがありました。
本当にこのお仕事に携わらせていただいて幸せだったなあと、そして設計の仕事をしていてよかったなあと思いました。
約180名の方にお披露目され、夕方になってもまだまだ多くの方に祝福されている建物を後にして帰路につくことが、
なぜかとても寂しく感じる特別な1日でした。(林 隆)


  No.5 (2001.05.01)   『大型連休』
 今年もゴールデンウィークがやってきましたが、前半の3連休はずっと仕事でした。
 4/28(土)の午前は、知人が”家づくり”について聞きたいということで、事務所に訪ねて来てくれました。
設計事務所・ハウスメーカー・工務店など依頼先の違いによる特徴、私の仕事の進め方、家についての考え
などをお話しました。午後はこれから実施設計に入るS邸のお施主さんと事務所で打ち合わせでした。
 4/29(日)の午前は、Aさんが設計した住宅が完成したとのことで、見せていただきました。いつものことで
とても気持ちのいい空間でした。いろいろと勉強させていただきまして、ありがとうございました。午後は以前から
お約束をしていたKさんを、私が今までに手掛けた住宅にご案内しました。最後に見た家でちょうど水道のトラブル
があり、帰りが遅くなってしまいました。
 4/29(月)は、これから別荘の基本設計が始まるお施主さんのご自宅へ、打ち合わせに行きました。
京都まで往復700Kmを、車で日帰りで行ってきました。さすがに高速道路は観光客でいっぱいでしたが、
渋滞はなく助かりました。
 あっという間にもう5月。1年の1/3がもう過ぎたなんて思えないほど、時間の流れを早く感じる今日この頃です。
(林 隆)


  No.4 (2001.04.23)   『薪ストーブ』
 住宅に置く「薪ストーブ」は、雰囲気づくりを優先し補助暖房として計画するケースが多いです。
しかし寒冷地においても、建物にある程度の断熱性能があれば、吹抜け等を介して家全体が暖まり
主暖房としての役割も充分に果たします。夜寝た後も朝まで火が残り、冬の朝も快適です。
 薪割りや火の番をしたり、自分の割った薪で自分の家と家族を暖める満足感、そして家の重心に
ある火を眺めながらの冷たいビールなどもまた格別です。
 薪の調達方法は様々で、すぐに燃やせる状態で売ってもいますが、原木の状態で入手して自分で
切り・割り・積み・運ぶこともできます。薪は何度も人の体を暖めてくれて、ほんの少し自然との
対話もできます。
 建築設備もハイテクなものになる傾向の中で、古くて新しい暖房方式かもしれません。
贅沢といえばそれまでですが、煌煌と燃える火は家全体を心地よく暖めて、人の心も穏やかにして
くれます。
 最近、建築基準法の扱いについて苦心しています。それは、台所のガスレンジ等と同様に、薪ストーブ
があることにより、その部屋が「火気使用室」の扱いになってしまうことです。
住宅の最上階以外に設置した場合には、壁と天井に内装制限がかかり、木質系の仕上げができなく
なってしまうのです。
何かいい方法はないものか、いつも悩んでいます。 (林 隆)


  No.3 (2001.04.16)   『八ヶ岳を望む家』
 昨年の秋から設計していました『八ヶ岳を望む家』の実施設計が完了しました。
木立の中の斜面に建つ、1階15坪・ロフト9坪の週末住宅です。
建物全体がワンルーム形式で、15坪の中に広間・水廻り・玄関を兼ねた大きな土間を設けています。
そして平面的にも断面的にも、隅から隅まで有効に使いきっているコンパクトな家です。
今秋の竣工まで、工事の様子はホームページに掲載していきますのでお楽しみに。(林 隆)

   No.2 (2001.04.09)   『9坪の家』
 建築家の故・増沢洵さんの自邸は、最小限住居と呼ばれて住宅史に残る名作と言われています。
まだ戦後の住宅不足が深刻だった1952年竣工の家です。私が59年生まれですので、
その家は私が生まれる7年前にできたことになります。平面は3間×3間の正方形、1階は9坪、
2階は6坪で吹抜けが3坪、延床面積15坪です。
 この家を都内の住宅地に再現して実際に住んでいる方がいます。
著者の夢が実現するまでのプロセスが本になり、小さくても家族4人が快適に生活できる家のプランと
実際の様子を紹介しています。
 私も楽しく読ませていただき、住むこと・生活すること・暮らすことについていろいろと考えさせられました。
家づくりを考えておられる方はぜひご覧になってみて下さい。 (林 隆)
萩原修・著、9坪の家、廣済堂出版(03-3538-7212)1400円
 
 
  No.1 (2001.04.02)  『インターネットと家づくり
新年度を迎えまして、これから毎週月曜日に「今週のコラム」と題し、
建築について・事務所の出来事・ニュース・身近に感じることなどを掲載していきます。
どうぞよろしくお願い致します。

 1998年11月より林建築設計室のホームページを開設しています。
内容はままだまだですが、唯一自分の考え・姿勢を発信できる手段として利用しています。
計画案や進行中の現場の紹介をしたり、一般の人に本来の設計監理の在り方や
ハウスメーカーさん以外にも家づくりの方法があることをご案内し、
実質的に初めて自前のメディアを持つことが可能になったわけです。
 メールによる相談コーナーには、何件かのお問い合わせをいただいています。
建物の不具合の解決方法、工事中の疑問について、また漠然とした構想段階で
情報が多すぎて整理ができないケースなど様々です。
イタリア在住の日本人から、マンションの水漏れ対策について尋ねられたのには驚きました。
一般の人にとっては、些細なことを誰に相談していいのかわからずに困っていることが意外と多いようですので、
何かのお役に立てていただればと思ってます。
 インターネットと建築設計について考えてみますと、設計から工事完了までのコミュニケーションの方法が一変してきています。
もちろん重要な決め事や説明は必ず顔を合わせた打ち合わせが必要ですが、
電話やFAXが持ち得ない即時性・簡易性・相互通信性・記録の保管など多くの優れた特性を持っています。
私にとっては、不可欠なツールになりました。
ネットがきっかけで知り合った方の住宅(黒い箱の家)が、昨年12月蓼科高原に完成しました。(林 隆)


  創刊準備号 (2001.03.27)
2001年4月より、毎週月曜日に「今週のコラム」と題しまして、
建築について・事務所の出来事・ニュース・身近に感じること
などを掲載していく予定です。
どうぞお楽しみに。



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