今週のコラムバックナンバー(No.101〜110)


No.110 (2003.05.27)  『「庭の中の書庫」竣工』  
 突然登場しましたが、「庭の中の書庫」(松本市)が竣工しました。
住宅と事務所に隣接する新しい土地に、駐車場・書庫・庭を計画しました。
アスファルト舗装ではなく潤いのある駐車スペース、物置らしく見えない書庫、
そして、それらと住宅とを有機的に結ぶ庭(植栽)の配置計画からのスタートでした。
樹木が植わると雰囲気が一変し、住宅地の一角に、「ミニ公園」ができたような雰囲気になりました。
 5/24には長野県建築士会の総会があり、その席上で第6回長野県建築文化賞の表彰式がありました。
「黒い箱の家」(茅野市)が住宅部門の優秀賞をいただくことができ、大変お世話になりました建築主と
施工に携わっていただきました多くの方々に、改めて感謝申し上げます。これを励みに事務所も更に
パワーアップしていきたいと、スタッフ一同思っております。
 今事務所内では、ある住宅のリフォームの設計が始まっています。超短期決戦物件です。
詳しくは、いずれご紹介致します。 (林 隆)                

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No.109 (2003.05.20)  『木製建具』
 先週はホームページの更新ができず、大変失礼いたしました。
 昨年竣工した建物にとりまして、今頃は樹木が一斉に葉を付け、建物をひきたててくれています。
そしてこの時期、一番多く発生している不具合は、木製建具の動き方がスムーズでなくなる現象です。
 住宅には必ず建具が必要で、私共は少なくとも@内部の間仕切り、A玄関戸、B居間などに設ける大型開口部、
は木製で設計しています。デザインが自由なことと木の質感を生かした空間創りのためです。
実は、事務所の玄関ドアもキーの召し合わせ部分のクリアランスが少なくなり、施錠が重くなっている状態です。
 季節の変わり目に多少の動きがあり、温度と湿度の変化にかなり敏感に反応しているためと思われます。
できるだけ、建具の微調整が必要でないようにすることはすごく大きな課題ですが、少しでも改善できる方策を
考えなくてはいけないと思っています。 (林 隆)

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No.108 (2003.05.06)  『「大屋根の家(箕輪町)」、竣工しました。』
 大型連休中に、住宅が1件竣工、1件着工しました。
 お引渡しをしたのは、「大屋根の家」(箕輪町)です。
工事期間は約半年だったのですが、設計期間は約2年という住宅でした。
外壁の塗り壁は、いつもの左官屋さんによくやっていただいている”横櫛引き”ですが、
はじめて白色にしました。外部木部の生地色に近い塗装とのバランスで、全体がかなり
優しい感じに仕上がりました。設計期間中お施主さんには、私たちの事務所で設計した住宅の
見学に何回も足を運んでいただきました。また工事中におきましては、自らが壁の珪藻土塗りや
床の自然塗料塗りに挑戦されましたことも大きな思い出です。
 床塗装をご自分で施工されることには、私も賛成です。
多少の手間と時間はかかりますが、将来メンテナンスをしていっていただくための
ウォーミングアップにもなりますので。
今までも床塗装自営工事は何回かありましたが、これからお世話になります住宅には積極的に
お薦めしたいと思っています。コストも結構削減できますし・・・。
「どうしても無理」とおっしゃるお施主さんは事前に申し出て下さいね。
 私たちの事務所にとってはじめての、木曽谷での工事が始まりました。
「木曽谷を一望できる家(大桑村)」です。
家の中心に構える螺旋階段を上がると、周囲の山並みを一望できる居間がそこにあります。
秋完成予定です。 (林 隆)


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No.107 (2003.04.23)  『「作業土間のある家(茅野市)」、竣工しました。』
 昨年の秋から工事をしていました「作業土間のある家」(茅野市)が竣工し、お引渡しをさせていただきました。
東には八ヶ岳を望むことができる牧歌的な風景の中に建つこの家は、作業土間をもつことが大きな特徴です。
夏は農作業の作業場として、冬は車庫として機能します。
木造平屋の矩形平面でシンプルな切妻屋根、軒高をおさえて深い庇を設けることにより低く構えた形態、
外壁は漆喰塗りの”白色”と、腰板張り・屋根廻りなどの木部の”黒色”との対比。
周辺には、徐々に輸入住宅のような建物も増えてきましたが、その中で本物の素材を使ったこの家は
力強い存在感を示してくれています。
 また今週は、「重なるデッキのある家」(豊科町)の地鎮祭が行われ、いよいよ着工しました。
1階の個室群と2階のオープンなLDK、その両階には重なるデッキがあり、外部と内部の中間領域をもつことが
この家の特徴です。秋完成予定です。 (林 隆)

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No.106 (2003.04.15) 『ある週末住宅のコンセプトづくり
 週末住宅の計画をしていると、「日常と非日常」「機能性と遊び空間」
「自然に対する開放と対峙」というような相反する要素のバランスをどのように
設定するかが課題になります。
私は感動的な自然との対話ができて、心地よい時間を過ごしていただける空間を
目指したいと考えています。
 先週はそのことをお施主さんと8時間議論しました。 (林 隆)

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No.105 (2003.04.08) 『ITサポーター事業』
 松本市と松本商工会議所による「ITサポーター事業」という活動があります。
勉強会や講演会を行い、技術の向上を目指して活動していますが、この1年間の活動をまとめた
「インターネットが開く中小企業の可能性VOL2」という冊子ができました。その中で、メンバーの
レポートとして林も紹介されています。 
 異業種のすごい仲間たちの集まりで、ついていくのが精一杯です。 (林 隆)

◇◇◇◇◇◇ 以下、その内容をご紹介致します。 ◇◇◇◇◇◇
 設計事務所を設立した5年前からホームページを運営しています。内容はまだまだですが、
事務所の姿勢・過去の実例・進行中の計画案や工事現場のリアルタイムな紹介をして、
本来の設計監理の在り方や施工会社・ハウスメーカー以外にも家づくりの方法があることを
ご案内しています。
 特に発信したいことは、建築を「商品として」成立させているのではなく、わたしたちは「ものづくり」
として成立させている、という点です。設計者としてオリジナルのものを提案し、工事が始まれば
自分の目で監理をして竣工に到ります。最も大切な"創り上げていくプロセス"の中で、
メールによる意見交換や図面の送付は膨大な回数になり、インターネットは不可欠なツールです。
 ホームページを見ていただいてメールによる仕事の依頼は、事務所の全仕事の約7割ぐらいに
なりました。キーワード検索によりたどり着く方、雑誌にホームページアドレスがあってそこから
入る方達です。
 事務所の基本的姿勢は「いいものを創り続ける」ことだと考えています。そしてその建築そのものと
コンセプトを発表して多くの方に知っていただくために、自前のメディアとしてホームページが24時間
がんばってくれています。ひとりのスタッフとして。

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No.104 (2003.04.01) 『新年度を迎えて』
 早いもので今日から4月。
信州でも昼間は暑いくらいになってまいりました。
春の着工に向けての、住宅の設計を進めております。
これからは更に「完成度の高い建築」を目指していきたいと考えております。
意匠・機能・技術面においては当然のことですが、建築そのもののコンセプトや
精神性における完成度も追求していきたいと思います。
 今日から事務所に新しい仲間がひとり増えました。田中美樹と申します。
林建築設計室は、平成10年4月の開設以来この春で6年目を迎え、4人体制になりました。
ホームページに事務所内の様子や、プロフィールのページには今日の夕方4人で
お茶を飲んだ時の写真もUPしました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
 (林 隆)

所員の独り言
 好きなデザインの物に囲まれて生活する。人を輝かせる魅力的な空間は、
その大小に関係なく実現できることと思います。出来上がった空間に自分を
合わせるのではなく、こだわった空間に身を置くことで、より心豊かになることと
思います。心地よい自分の空間で、多くの人に時を過ごしてもらいたい。
数多くの心地よい空間がご提案できるよう、努めたいと思います。(長岡 信行)


 最近学生だった頃のことをよく思い出します。
東京に近かったということもあり、雑誌に何か新しい建物が載る度に現地に見に行っていました。
何事においてもそうですが、自分自身で実際に見て、感じて、身に付けていくことが大切だと思います。
氾濫している情報に溺れずに、きちんと判断していけるようになりたいと思います。(村山 崇)

 春の訪れや、耳にする会話の中から、「新たなスタートの季節か・・・」と 
まるで他人事のように遠くで感じておりましたが、よくよく考えれば(考えずとも)
私自身も今日スタートラインに立つことができ、走り出したところです。

興味とやる気とでいっぱいに膨らんだ初心を抱き続けて、名実ともに正所員への道を
しっかりと進む決意でおります。どうぞよろしくお願いします。  (田中 美樹)


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No.103(2003.03.25) 『事務所内の温熱環境』

 早いもので年度末。日中はほんの少しづつ暖かくなってきたようにも思います。
新しい事務所に引っ越した時はすでに冬で、それ以来ずっと暖房を使ってきました。
その間、事務所内には何ヶ所も温度計を置いて、場所による温度差、時間や気候による
温度変化、加湿器の使い方によってまれに起こるガラス面の結露の状態や木製建具の
反り具合、植物の土の乾き方、灯油の消費量などを観察してきました。それらすべての
データが、住宅設計の実務の中で生かしていけると考えています。細かな反省点も
ありますが、概ね快適に冬を過ごすことができました。
 温熱環境とは別の話になりますが、5ヶ月目にして早くもリフォーム工事にかかります。
それは、小さな手洗室の新設です。多くのお施主さんに事務所まで打合せにお越しいただいて
いますので、今までご迷惑をおかけしてきまして失礼致しました。それと自分達にとりましても
小さな流しひとつで、すべてをまかなおうとしたことに無理がありました。また音の問題も。
ワンルームの事務所にとりまして、引戸1枚隔てた部屋での便器の洗浄音は意外と
響いています。仕上材も影響はしてはいますが。   
 もう一点、螺旋階段のキシミ音。杉の床板を鉄筋だけで支えるという、意匠的な冒険を
したため、若干の揺れがありギシギシといういい音がしています。これはゴムパッキンにて
緩和を期待。反省ばかりです。
 (林 隆)

所員の独り言
 先日、茅野駅に隣接するデパート内にある「茅野市こども館(0123広場)」へ行ってきました。
こども館は、撤退したテナントのフロアーを、「こども・家庭応援計画」策定委員と建築家、住民の方々と
共に計画し、改装した施設だそうです。施設には、遊ぶ広場から、簡単な炊事場や授乳室、外部からでも
相談できる外来相談コーナー等があり、広々としたフロアーで「遊ぶ」だけでなく、気軽に相談や学習、
子どもに関する情報を集めたりすることができました。0歳から保育園に入るまでの子供と出かける
となると、行き場所が限られ、核家族で狭い部屋に親子でいる時間が長くなると思います。買い物へ行く際に
ふらっと寄れる子育ての拠点や支援策が、市の中心地やデパート内にあるということは、商業と共存し
活性化していくという「まちづくり」にも重要な事だと思います。 (長岡 信行)


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No.102(2003.03.19) 『自宅の6畳間』
 先日、建築士事務所登録の更新手続きをしました。
ちょうど5年前の3月末に新規登録をした時の資料を見ましたら、そこには事務所の内外の写真を
添付してありました。当時は自宅の2階の6畳間が事務所で、机と電話だけからのスタートでした。
勤務していた設計事務所を退職し、ひとりでこれからどうしようと考えていたことを懐かしく思いました。
仕事はありませんでしたが時間だけはありましたので、ホームページでも作ろうかな と漠然と考え
始めた時でもありました。
 今、その6畳間は小6の娘が占領し、パソコンを操りMDで音楽を聴いています。昨日は卒業式
でしたので、半日お休みをいただいて行ってきました。式の最後には、約15分の大合唱。
卒業生・在校生・先生方が互いに語り合うように歌う様子には、思わず涙が出てしまいました。
この6年間を振返ると、何もしてあげられませんでしたが、毎日明るく元気に過ごせていることは
何よりです。この春休みは少しは一緒に遊びたいものです。 
 式が終わると、いつもの姿に戻り大騒ぎ。
”笑顔で別れ「寂しくない」 小学校で卒業式のピーク”
という見出しで、3/19の信濃毎日新聞に、大笑いの様子が紹介されてしまいました。 
   
以上、親バカでした。 (林 隆)

所員の独り言
 近年の周辺環境の変化のスピードには、本当に驚かされます。
1,2年前と全く同じ風景の場所なんてものは、ないのではないかと
思ってしまうほどです。そんな中でも、きちんとした形で
残していかなければいけないものもあるはずです。
建物にしてもそうです。ただ形を残すのではなく、
その場所でそれが担ってきた役割などもふまえて
考えていかなければいけないと思います。 (村山 崇)

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No.101(2003.03.11) 『古谷誠章氏の講演』
 3/5にJIA長野県クラブ主催の講演会が行われました。
茅野市新市民会館を設計中の古谷氏の演題は「人々がつくり人々の出会う場所」。
プロポーザル方式による設計者選定のプロセスが、すべて公開されたこと、
その後の設計段階において市民や専門家による策定会議を何回も行ってきたこと、
そしてその生々しいやり取りなど、大変興味深いお話しを聞くことができました。
 「すべての建物の設計者の名前がわかるようにすべき。建築家は都合のいい建物だけ発表し、
デキの悪い建物は発表しない傾向がある。中にはデキの悪い建物ばかりもっぱら設計している
人もいるが。」という厳しい指摘も。
 公共建築のあり方や、設計者としてのスタンスがいかに重要であるかという意味で、いろいろと
考えさせられました。
 (林 隆)   

所員の独り言
 私が住む松本から山間部を抜け、海辺まで辿り着くにまでに、そう時間も掛からないようになりました。
行く道すがらに田園や山岳、海辺の地域と、風景の移ろいと共に表情の異なる住宅を見かけます。
屋根庇の出に長短があったり、外壁の仕様や屋根下の利用など、山一つ越えるごとに
建物の形や意匠が変わっているようでした。建築に係わる材料は、山や川からと
様々な土地の材料から出来上がっています。地域材料を使い、風土に合った建物を造るために、
私の住む周辺にはどれだけの材料があり、使われているのか興味を持ちました。(長岡 信行)

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