今週のコラム バックナンバー(No.130〜No.121)


NO.130 (2003.10.28)  『軽井沢・脇田美術館 
 旧軽井沢に建つ脇田美術館。10/25に、館に隣接する脇田和氏のアトリエ山荘の内部を見せていただく機会を得た。
1970年に吉村順三氏設計により建てられたこの山荘は、現在も個人アトリエとして使用されている。RC造のピロティー
の上に木造の2階がのるプロポーションは実に美しく、外壁の板張りも綺麗にメンテナンスされとても30年以上が経過
しているようには見えなかった。その後内部へ。建築空間は、写真や図面を事前に見ていても、体感してはじめてわかる
ことがたくさんある。明快なプラン、天井高、開口部などのディティール、照明、家具、そして敷地の中の建物・建物の中の
重心がうまく構成されていて、
全体のバランスからくる”心地よさ”を感じることができた。
 暖炉には火が入り、100人以上の見学者が庭でワインをいただき、アッという間に夕方になってしまった。 (林 隆)


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NO.129 (2003.10.21)  『重なるデッキのある家(豊科町)」竣工 
 安曇野の田園風景、2階リビング案、木造の構造体をあらわしにしたシンプルな架構、木製の大開口。
南側の庭に植えたヤマボウシの大きな株立ちの木が、今まさに紅葉を迎え、居間の大きなFIXガラス越しに秋の気配を
感じることができます。
 建築を構成する大事な要素の一つに「周辺環境」があります。それは敷地内の外部空間の使い方であったり、景色の
見え方であったり、光や風の入り方など、そして今回の計画では近くにあるご実家との関連性についても検討をして計画が
進みました。
1・2階各6帖づつの上下に「重なるデッキ」は、周辺環境と室内の建築空間をつなぐための装置であり、
移りゆく季節の変化を感じることができます。これからの暮らしの中でいろいろな役割を演じてくれそうです。   

 本日、平成15年度の松本市都市景観賞の発表がありまして、当事務所が設計監理をしました「喫茶・楽蔵ぴあの」と
「林建築設計室アトリエ」の2件が受賞致しました。お施主さん、そして施工に携わっていただいた多くの方々に対しまして
心より感謝申し上げます。 (林 隆)  


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NO.128 (2003.10.14)  『片流れ屋根の家(小渕沢町)竣工』
 緑に囲まれたゆるやかな傾斜地に建つこの家は、最小限でかつシンプルな空間づくりへの挑戦でした。
暮らし方、広さ、高さ、素材、木造の架構などの検討を重ねた結果生まれた、18坪で片流れ屋根の週末住宅。
屋根と外壁は黒色のガルバリウム鋼鈑、低い階高、深い軒、赤色の玄関ドア、内壁は全室シナ合板張り、
大きなデッキ、オール電化、熱源の遠隔操作が特徴で、建築と周囲の自然環境との”同化”がテーマでもありました
 人が暮らすということ、そのための広さは考え方次第です。「○帖ほしい」ということより「○帖の中でどう工夫するか」
という発想が必要なこともあり、その潔さが新たな発見につながることもあります。 (林 隆)

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NO.127 (2003.10.07)  『着工・竣工の時期』
 今年の秋着工予定の「円なる教会(松本市)」「吹抜を囲む家(松本市)」の実施設計が終わり、着工に向けての
準備中です。秋に着工する建物は、年内に基礎工事や木造・鉄骨などの矩体工事、屋根工事くらいまでが行われ、
年を越してから仕上工事を行い春に竣工、というような流れが一般的です。
 現在設計中の建物は、来春までに実施設計を終えて着工、来秋または来年中に竣工という予定で進んでおります。
建物の規模にもよりますが、住宅の新築の場合は工期が最短でも半年前後は必要ですので、「秋着工または春着工」
というパターンが私共の事務所としては多いです。 (林 隆)

所員の独り言
 最近、私の生活の中で「見せる」「しまう」という心掛けている言葉があります。
額や雑貨など「見せる」場所は目線の高さに、身支度品など「しまう」場所は
直ぐ取れて見えない足元にと、狭い部屋でもすっきり感や広々感がでないものか
と試行錯誤しています。ちょっとした視覚の効果を利用した収納方法が、
限られた空間を伸び伸びとした心地良い部屋に変えるのではないかと思います。 (長岡 信行)

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NO.126 (2003.10.01)  『現場の状況

 早いもので今日から10月。9月の前半は暑い日が続き、後半は一転秋の気配が強まり信州の朝夕は寒く感じる日も
あるくらいです。
冷房から暖房への切り替えが早く、中間期がないような奇妙な気候で、自然の恵みの大きさを改めて
感じます。
 ホームページ内の「今日の現場」でもご紹介していますが、10月には3件の住宅が竣工予定です。工事の
終盤で、
左官工事や塗装工事などの最終的な色彩や質感の決定をします。建主・施工者・各工事の職人さん・設計監理者が集まり、
大きめに作っていただいたいくつかのサンプルを見比べて検討します。迷うこともあります。すぐに決められないこともあります。
同じ物でも室内と室外、日向と日陰で見え方も違います。それはすごく大切な緊張する瞬間です。
その後最後の仕上げ
工事
が行われ
多くの職人さん達の手によって造られてきた建築が姿を現わします。
 竣工する家は、一般に公開するような完成内覧会は行いませんが、もし見学をご希望される方には建主の方のご了解を
いただきまして、ご覧になっていただくこともできます。メールにてご連絡下さい。 (林 隆)

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NO.125 (2003.09.24)  『OMソーラー
 先日、OMソーラー協会の詳しい話しを聞く機会がありました。   
季節によって、暖房・換気・給湯を行うパッシブシステムパッシブの3要素は、@集熱A断熱・気密B蓄熱。
建築を自然環境から切り取った閉じた空間として考えるのではなく、環境に対して開かれ、有利なことは取り入れ、
不利なことは遮断したり排出したりすること、が特徴です。
 建築の温熱環境については、今後実務の中で取り組んでいくべき大きな課題のひとつと考えています。 (林 隆)

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NO.124 (2003.09.16)  『建築家・林雅子展
 トップページのニュースでもご案内しています「林雅子展」。9/15には会場係のお手伝いをさせていただきました。
実施設計図面、写真、模型、スケッチなど貴重な資料が展示されていて、物づくりの精神性を感じることができます。
会場は40年前、当時林さんが29才の時の作品。空間構成のコンセプトは今でも新鮮で、改修をして地域に開放された
オープンカフェは賑わっています。なんと40年前の建物の改修が評価され、長野市の都市景観賞を受賞されたようです。
 長く生き続ける建築について、おおいに考えさせられた1日でした。 (林 隆)  

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NO.123 (2003.09.10)  『テレビ放映を終えて』
 予定どおり9/7(日)に放映されました。
家づくり・番組づくりのために、お施主さん、工務店さんをはじめ工事に携わっていただいた方々、製作スタッフの皆様、
多くの方々に大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 通常の「施主、施工者、設計監理者」という3者による家づくりではなく、今回は「番組製作者」が加わった4者による
家づくりでした。番組からの意向もあり、思い出のリメイク品もなかったわけではないのですが、空間の演出部分を紹介
していただくことになりました。限られた時間の中ですべてをお伝えすることは無理ですので、番組製作者も苦労された
のではと思います。
 設計から施工まで短い期間でしたが、家づくりを通じて多くのことを学ばせていただきました。 (林 隆)


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NO.122 (2003.09.02)  『ビフォーアフターの予告』
 番組のホームページに、「2003/09/07 19:58 放送予定」が発表になりました。
その内容をご紹介いたします。 (林 隆)

 様々な問題を抱えた通称“先の見えない家”を、“未来空間のナビゲーター”ことリフォームの匠、林隆が
劇的に大改造する! あまりの変貌に所ジョージも「なんということでしょう!」と驚きの絶賛!
様々な問題を抱えた通称“先の見えない家”を、“未来空間のナビゲーター”ことリフォームの匠、林隆が劇的に大改造する。
 今回の依頼は長野県諏訪市のK家。諏訪湖を一望する、小高い丘の上に建つK家は築27年、広さ29坪の一軒家。
十分な広さを持つ、その外観からは問題を伺い知ることはできない。しかし、ダイニングが狭いため、6人家族
(依頼人である妻・35歳、夫・40歳、9歳の三つ子の長男、7歳の四男)が台所で座卓を囲んで食事をしたり、
キッチンと子供部屋が離れているためお母さんの目が子供達に行き届かないなど、使い勝手の悪い間取りに悩まされている。
また、急な斜面に建っているため、遊んでいる子供たちが庭から転落する危険性も。他にも、諏訪湖を見下ろせるはずの
台所の窓の外に大きな物置が置かれ、外光と視界が遮断されるなど、随所に問題点が浮上する。
 子供が健やかに育ち、家族が仲良く住める家にしたい。そんなK家のせつなる願いを受けてリフォームの匠・林隆が
立ち上がった。将来を見据えた合理的な居住空間を作り上げることをモットーにしている、別名“未来空間のナビゲーター”だ。
季節は晩夏、恒例の諏訪湖の花火大会を、一家は生まれ変わった家で楽しむ事ができるのだろうか。
 スタジオでも、匠の大改造の行方を徹底推理。「匠は、薄いポリスチレンの板を何に使うのか」「匠は、鉄骨で三角柱を
作っていたが、何を使用しているのか?」などの問題に頭をひねらせる。リフォームに強い関心のあるゲストの目黒祐樹
をはじめ、スタジオでも様々なリフォームのアイディアが飛び出し、見事全問正解を果たす。
クライマックスでは、K家のあまりの変貌ぶりに、さすがの所ジョージも「なんということでしょう!」と番組ナレーションの
名台詞を借りて仰天。目黒も「本当に劇的!タイトルに偽りなし!」と絶賛する。


所員の独り言
 「パリの子供部屋」という小さな本があります。
文字通りパリの子供部屋を紹介した本なのですが、どの部屋も個性が強く、嗜好はそれぞれあるかと思いますが、そこで
育った子供達との絆がとっても強いのです。子供の個性を反映しているのか、影響を受けて感受性豊かな子供たちがある
のか、いずれにせよ 住まいが寝るための宿になるのではなく、住む人それぞれにいろんな色を着けていく・・・家とともに
暮らす楽しさを忘れてしまったら!!大切にして行きたいな、とページをめくり、思いました。 (田中美樹)


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NO.121 (2003.08.27)  『「ぶどう園のある家(松本市)」上棟』
 小雨まじりの天候の中、8/26に無事上棟式を迎えることができました。
2階の北側の窓からは 敷地内にあるぶどう園を見おろすことができ、遠景も望むことができます。

木造住宅は、屋根下地の垂木(たるき)まで架かった瞬間がとても美しく、お施主さんと共にイメージしていたフォルムを
確認できる瞬間でもあります。おおらかな勾配の切妻屋根、深い軒、そして力強い架構がうまくバランスし、
どっしりとした姿を現わしました。室内は柱や梁のほとんどの木材があらわしになり、県産材を多く使った家です。 (林 隆)   


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