今週のコラムバックナンバー(No.190〜181)


No.190 (2005.02.22) 『一週間』
 があっという間に過ぎてゆきます。本当に早く感じます。
設計、現場監理、建築主との打ち合せ、はじめての方との相談などが続く毎日。
特に土日は人とお会いすることが多く、午前・午後・夕方と6人の方とのお約束が入ることも。
そんな毎日の実務の中で、ちょっとしたアイディアや工夫そして発想の変換によって、少しずつ設計中の
建物が良くなっていくのです。その歓びのために時間を忘れて考えています。却下されるかもしれないのに
夢はどんどん膨らんでいってしまう。 (林 隆)

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No.189 (2005.02.15) 『長野県建築文化賞』
 第7回長野県建築文化賞・住宅部門・優秀賞を、「北に開く家」(松本市)で受賞することができました。  
長野県建築士会の主催で2年に1度行われ、住宅部門(今回は29点応募)と一般部門(同10点応募)
からなり、昨年8月に応募。書類審査、そして上位数点が審査委員の伊東豊雄氏、古谷誠章氏・
林太一氏(士会会長)の3名による現地審査を受け、2月に結果が発表された。
受賞作は、敷地の有効な使い方・周辺環境との向き合い方、光や風との共存の仕方・合理的な暮らし方、
そして美しさについて、建築主と話合い検討し、その答えを見つけ出し、それを型として表現したRC造の住宅。
 これを励みに更に今後も建築主のために、環境のために、そして社会のために、質の高い建築空間を
提案し創っていきたい。この建築を考え実践していく機会をいただいた建築主のHさん、そして施工に携わって
いただいた建設会社さんには、改めてお礼と感謝を申し上げます。 (林 隆) 

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No.188 (2005.02.09) 『A店舗(大町市)上棟』
 雪の中で、鉄骨造の骨組みが姿を現わした。敷地は大町市の駅前通りに面する角地。道路拡幅によって
敷地は小さくなったが、歩道も整備され既存のアーケードもなくなるため、新しい街並みができていくことになる。

 1階と2階の一部が薬店、2階の一部と3階がオーナーの休憩室という構成。建築主との最初の打合せで、
私どもの事務所をご覧になっていただいた時に、「吹抜けと、コンパクトな階段と、2階に小さな多目的スペースを
造れたらいいね。」というご要望をいただき、結果的のその通りになった。長年営んでおられるお店に、+αの
ゆとりと遊びの空間を付加させることができた。
 黒のタイルと白い壁によるシンプルな外観で、春竣工の予定。先日の大きな火災現場は数百メートル先の
同じ商店街だった。犠牲者のご冥福と街の早い復興をお祈り致します。
 (林 隆)

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No.187 (2005.02.01) 『文化講演会のお知らせ』 
 建築界でご活躍の先生をお招きして、「第13回文化講演会」が開催されます。
ぜひ一般の方もご参加ください。 (林 隆)
(以下、案内状より)
■講演:建築家・高橋てい一氏(第一工房代表)
■日時:平成17年3月12日(土) 15:00〜17:00
■場所:長野市、ホテル国際21
■会費:無料    
■主催:(社)日本建築家協会・JIA長野県クラブ   
■演題 「建築のクロスワード・対極にありもの」
 ----天から降ってくるもの 地から沸きでるもの----   

私たちの職能の対象としての建築というものからこの世界を見る。これが私たちのグローバルな視座という
ものではないのか。地域の文化とは?環境というものは?無数ともいえる対極の視座。ミクロからマクロまで、
建築を中心としてその対極にあるものを考えるとき始めてわれわれの視界は開けてゆく。   
   
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No.186 (2005.01.25) 『施工業者の選び方』 
 今週はホームページの構成について。ずっと準備中になっていた「施工会社の選び方」のページをUPした。
いつも打合せの段階でご説明している内容を述べただけではあるが、いろいろな方法があって
それぞれに特徴がある。どの方法がベストかについては、個々の打合せでご相談しながら方向付けすることが
できればと思う。設計と施工が分離されているケースは、私たちのような設計監理専業の設計事務所が携わる
場合だけで、まだまだ比率は少ないのかもしれない。   
 また、「建築の部位別紹介」というページを新設した。たとえば、階段・キッチン・ガレージ・・・というように
分類し写真でご紹介している。本来は個々に説明の文章を添えたいところだが、とりあえずは写真だけの状態。
徐々に加えていきたい。 (林 隆)

所員の独り言
 団らん。辞書を引くと、人々が集まって楽しく語り合うこと、とあります。
家をつくるとき、まず家族の団らんのイメージが核になると思います。居間でテレビを見ながら団らんする
ケースもありますが、やはり食事をしながらのケースが多いことと思います。
何故かいつも同じ場所に座り、落ち着いた居心地のよい場所で家族と食事をする。
当たり前のことかもしれませんが、食事をする場所が住宅の中で一番大切な場所であり、
家づくりの出発点なのかもしれません。(長岡信行)


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No.185 (2005.01.18) 『信州の建築家とつくる家』
 
 日本建築家協会(JIA)の長野地域会(長野県クラブ)の会員が、自分達の仕事のことを知っていただくために
本を作っています。(仮称)「信州の建築家とつくる家、愛と情熱の家づくり・第3集」 

私も最近手掛けた仕事のいくつかを紹介させていただく予定で、今現在その最終校正段階です。
今春発売予定ですのでお楽しみに。 (林 隆)   

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No.184 (2005.01.11) 『2005年を迎えて』

 松本では大晦日に雪が降り、元旦は一面真っ白な雪景色。新たな気持ちで新春を迎えることができました。
今事務所では、春着工そして秋着工に向けて何件かの設計に取り組んでおります。また着工が延期に
なっていた 「森で歌う家」「陽だまりの家」も春には工事がスタートできそうです。
今年も新たな空間づくり、意匠と構造の合理性、シンプルであることの美しさ、などに挑戦していきたいと
考えております。たくさん提案します。そして夢を膨らませましょう。楽しい家づくりをしましょう。
設計や工事のプロセスをいい思い出にしましょう。どうぞ本年もよろしくお願い申し上げます。
 新年1/8には、「地元の木でつくる家(阿南町)」が上棟を迎えた。   
構造材や床材だけでなく、キッチンの天板やテーブルまで地元の山の木で造る予定。
家全体が一体空間のおおらかな間取りで、1間間隔で連続性のある架構を意匠的に見せている。
シンプルな片流れ屋根、大きな開口部、白(漆喰)と黒(板張り)のモノトーン、オリジナル薪ストーブ、
思いがいっぱい詰まった家は春竣工です。 (林 隆)

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No.183 (2004.12.28) 『2004年が終わります。』
 毎年のことですが、仕事納めの今日の夕方やっと年賀状ができあがった。今年竣工した建築の写真を
見ていると、本当に多くのことが思い出される。建築主の夢を実現するために、建設会社の代表者、
現場で陣頭指揮をとってくれた監督さん、そして多くの専門職人さん達の総力によって建築は完成する。
私は感謝することばかりだった。いろいろと技術を教えていただいた。改めてお礼を申し上げます。
 その中のひとつの建築である「北に開く家」が、長野県建築文化賞(建築士会主催)の候補作品として、
12/19に現地審査を受けた。審査委員は伊東豊雄氏と古谷誠章氏だった。短い時間ではあったが、
私は何点かの質問をされたり、建築主とは暮らし方についてのお話をされていた。平面図にいろいろとメモを
されているのが印象的だった。結果はどうであれ、世界で活躍されている建築家が松本までお越しいただいて、
審査をしてくださっただけでも光栄なことだと思う。どのような講評をいただけるのかが楽しみである。    
 今年一年、お施主さんにはいろいろとお世話になりまして本当にありがとうございました。また、多くの方に
このホームページをご覧になっていただきまして嬉しく思っています。現在、117000アクセスになりました。
 私事ですが、2ヶ月ぶりにALFAが戻ってきた。ちょっと古い96年型のAlfa Spider。(MT、LHD、黒)
どうしてこの寒い時期に?狭い、固い足廻り、剛性がなくてギシギシ音、後ろがよく見えない、物が運べない、
などなどネガティブなことばかりなのに何がいいのだろう。潔いデザイン、その一点だけ。今までにお世話に
なったお施主さんが6人もオープンを所有されていて、ちょっと影響されたかもしれません・・・。
 年末年始にはお休みをいただきます。2005年も輝かしき年でありますように。(林 隆)

所員の独り言
 2004年も残すところ後3日になりました。
今年も様々な方々と共に家づくりをさせていただくことができました。
一軒一軒の建物に建築主をはじめ、施工者やそれぞれの職人さん達の
こだわりが詰まっています。
そんな、こだわりある家づくりのプロセスに関われたことを思い返すと、
今年1年も充実した年だったと思います。
「さらに良いものを」を常に考えながら来年も頑張っていきたいと思います。
今年1年間お世話になりまして本当にありがとうございました。 (村山 崇)


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No.182 (2004.12.21) 『外と向き合う家(松本市)竣工』
 敷地の周辺環境は様々で、その条件下で最善の答えを見出していく。計画の第一歩は、敷地の特性を読む
ことから始まる。 室内と外部とのつながり方にはいろいろな考え方があるが、壁で大きく囲まれた外部空間
(2階テラス)を設けることにより、将来も変わらない良好な住環境を維持いていけることを目指した。
具体的には、室内から周辺の雑多な風景は見えないように、お隣や外からの視線は遮りたい、明るさや日照は
確保したい、外から見える姿として生活観を出したくない。
 @囲まれた外部空間を中心に、A居間空間、B透明ガラスで構成された水廻り空間(浴室・洗面・便所)、
の3つの機能が三角型状に向き合っている。季節、天候、時間、家族の暮らし方や年齢、を越えて生活の
いろいろな場面ごとに、楽しく気持ちよく”外と向き合うことができる”家、である。コンクリート打放しの壁・
赤い壁・白い壁の3つの面は、敷地の形状に沿って構成されている。 (林 隆) 


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No.181 (2004.12.14) 『趣味の広がる家(三郷村)竣工』
 購入予定の土地を見せていただいたのは昨年の夏、暑い日の午後だった。
新しく造成された住宅地で南側に前面道路、北〜北西方向には安曇野の田園風景と北アルプスの山並みを
望むことができる静かな場所だった。 南からの日照・採光、北〜北西方向の眺望、東西の隣家との関係、
などを考慮し、住居部分、室内のガレージ、屋根だけのオープンなガレージ、庭園という敷地全体のゾーニング
の検討からはじまった。
 室内ガレージに隣接する趣味室は、全面ガラスによって仕切られていて、車を見ながら音楽を聴きお酒を飲む、
そして考えごとをする。そこは書斎であり応接室でもあり、ひとりで過ごす、家族で過ごす、来客と過ごす、
いろいろな場面が想定されている。また2階の台所は、楽しく効率的に趣味の料理ができるよう、アイランド型の
シンクを中心にサークル状の動線をつくり、そこにはハイカロリーのガスコンロや大型の冷蔵庫・冷凍庫が
配置される。
 大切な場所からは綺麗な景色を望むことができ、信州の四季の美しさを感じながら暮らしていただけることを
願っている。照明器具・手摺や表札などの金物は、作家にお願いしてオリジナルのデザインで造っていただき、
緊張感のある空間になった。植栽は、今の時期でも植えられる樹種と春にならないと植えられない樹種がある。
来春、残っている植栽が行われ庭園が完結する。 (林 隆)