今週のコラムバックナンバー(No.260〜251)


NO.260 (2006.09.12) 『急に肌寒く』  
 なりました。つい先日までは事務所や車でエアコンを使っていたのに、
今日などは暖房がほしいくらいの陽気です。
 先週は、「混構造の家(松本市)」と「軒下空間を楽しむ家(筑北村)」の実施設計が終了し、
着工に向けての準備段階に入りました。 (林 隆) 

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NO.259 (2006.09.06) 『オープンハウスのご案内』

 ホームページのトップでもご案内していますが、現在工事中の住宅のオープンハウス(見学会) 
を予定しています。住宅の設計は施主さん(建築主)と建築家の協同作業で、 
設計期間と施工期間の長いプロセスを経て、いよいよ形となり完成します。 
両者の深い思いが込められた空間を、ご興味のある方にはぜひ体感していただければと思い 
企画をしました。 
 私たちの設計の仕事や工務店さんの確かな技術を、社会に対して発表させていただく 
このような機会は、施主さんのご理解とご協力をいただかなければできません。 
施主さんのご厚意には本当に感謝を申し上げます。  
  
□ 「対比する家」 (安曇野市)  9月24日(日)予定
   内と外、無機と有機、光と影、開放と閉鎖、面と線、白と黒、ガラスと壁、家族と個・・・
   の対比について考えました。
□ 「季節を感じる家」 (安曇野市) 10月1日(日)予定
   安曇野の眺望、田園風景、移りゆく季節、庭、樹木、畑、光、風、視線・・・
   の感じ方について考えました。
□ 「通り抜ける家」 (松本市) 10月8日(日)予定
   二方向に開放し上下方向に吹抜ける空間。そこには光・風・時間が通り抜ける。
   敷地のもつ力について考えました。
□ 「見わたす家」 (松本市) 10月下旬予定
   綺麗な空と山並、市街地そして夜景を見わたすことができる。
   周辺環境との向き合い方について考えました。

見学をご希望の方は、メールなどでご連絡をいただければ、
案内図・時間等の詳細をご案内致します。  (林 隆)

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NO.258 (2006.08.31) 『稲荷山養護学校』
 千曲市の稲荷山養護学校(北川原温氏設計)を、学校の夏休みに合わせて見せて
いただける機会があった。3ヵ年計画で2期工事までが完了し、部分使用しながら現在は
3期工事の基礎工事中で来年3月全面開校予定。カラマツを中心とした県産間伐材、
そしてカラマツ接着重ね梁等を大量に使用した大規模木造建築であることが特徴。
一般的な住宅の約135棟分の県産間伐材を使っているとのこと。
 公共建築で内外に木材を使うということは、構造計画やデザイン・機能性だけでなく、
耐候性やメンテナンス方法についてもクリアーすべき課題が多かったことと思う。
木材の使い方は本当に難しくて奥が深いことを再認識することもできた。
 私どもの小さな事務所も、柱と梁の構造体はすべてカラマツ接着重ね梁を使っている。
少し割れたりねじれたりしている箇所もあるけれど、それも無垢材の特徴で経年変化を
観察しながら楽しんでいる。 (林 隆)

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NO.257 (2006.08.23) 『お盆の休み』
 毎年あれもこれも、と計画するだけでアッという間に終わってしまう。   
お休み中のほうが都合がいいこともあったので、時間を調整して
・工事中の現場の打ち合わせ
・製作家具の工房への訪問
・新しい施主さんの敷地を見せていただくために訪問
というようなこともあった。
秋の竣工に向けて、ある現場のお大工さんはお盆休み返上で造作材の加工をしていただいた。
本当にありがたいことです。    
 お盆の休み中に、ホームページのアクセスが 170,000に到達しました。 (林 隆)

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NO.256 (2006.08.09) 『直島』
 8/6(日)・7(月)で夏休みをいただいて、家族と瀬戸内海の島(香川県の直島)へ行ってきた。
1泊2日、片道550Kmの旅は、車では少々ハードなスケジュールだったが、岡山の宇野港から
フェリーで20分、朝の9時には直島へ着いていた。  
以前、ベネッセアートミュージアムへは行ったことがあったが、今回の目玉は
・ベネッセアートミュージアムの新しい宿泊棟
・地中美術館
・家プロジェクト(角屋、南寺、護王神社)
・綺麗な海
 パークとビーチと呼ばれる今年5月にオープンしたホテルは、安藤忠雄氏には珍しく木造2階建て。
敷地の特性をフルに生かし、構造架構の力強い表現や引き締まったディテールなど、
本当に気持ちのいい空間だった。
 内部・外部ともに仕上げに木を使っているにもかからわず、耐久性やメンテナンスなどへの工夫も
多く見られ、いたるところから建築家のメッセージが伝わってくるようだった。(勝手な思い込み?) 
木部塗装色は、私も好きでよく使う「ヘムロックファー」だったが、形態とともに実にシンプルに
まとまっていた。写真とスケッチで大忙しの2日間だった。 (林 隆)
  
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NO.255 (2006.08.01) 『テーブルとイス』
 梅雨があけてお盆までの一番暑い今の季節は、好き。
小学校の頃、毎日水泳をして真っ黒になって遊び、スイカととうもろこしと冷たいお水が
美味しかった。今になってもその頃の記憶がなぜか重なるのかもしれない。暑い夏。
なぜか朝早く起きて事務所へ来たりもする。
 話は変わって。
最近の暮らし方の傾向としては、居間と食堂の概念がはっきり分かれるのではなくて、
あいまいにつながっていたり兼ねていたりする。食堂といっても、食事をするだけでなく、
家族が集いくつろぐ場所としても使うことになる。そこで大きな役割を果たすのが
テーブルとイス。 
 思い出のある既存の家具を新居でもそのまま継続して使っていくのもひとつの方法、
また新築を機に新しくするのもいいでしょう。新しくする場合には、既成の家具を購入する
方法とオーダーして製作する方法がある。オーダーといってもデザインや材質によって
コストもさまざま。木、鉄、ガラス、皮、布など、考えるだけでも楽しい。
ウェグナーのYチェアーやマリオ・ベリーニの412Cabもいい。何十年も定番で
造り続けられている椅子はやはりそれなりの重みがある。
 部屋の広さや質感、家族構成、使い方、コストなどをトータルで考えて、その空間に
フィットする家具が一番いい。建築と同様に長く使ってほしい。 今工事中の家の
施主さん達から家具の相談もいただいて、一番いい方法を模索している。 (林 隆)



所員の独り言
コミュニケーションをとる上で大切なのは、お互いに理解し合う事。
自分の考えを正確に伝えて、相手に理解してもらう。
相手の考えを正確に理解する。
これらが出来て初めて話し合いが成立します。
言葉・文章・図など伝達手段は様々ですが、
それらを使いこなして、本当に大切な事をきちんと伝え、
相手が伝えたい事を読み取る。
そういった、コミュニケーションを心がけて日々取り組んで行きたいです。(村山崇)


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NO.254 (2006.07.26) 『JIA建築家協会の勉強会』
 夏の恒例行事が7/22に行われ、同じ志をもつ会員約20名と賛助会員約20名が集まった。
自由な討議方式で、建築士法改正問題・入札による設計者選定方法の良し悪し・
設計監理の専業兼業のこと・設計者紹介システムのこと などについて話し合った。
国交省は今回の構造偽造事件をきっかけに、50年間続いている建築士法を数ヶ月の検討だけで
大急ぎで改正しようとしている。一級建築士の再試験についても話題になっているが、
私はそれよりももっと大事なことがあると思う。個々の建築士に構造的な知識があろかないか
以前の問題として、倫理の関わることだと思う。設計の仕事に携わっていくためには、
大学や職場の教育がうんぬんでなく生き方の問題になってしまう。
よく考えてみると、建築だけでなくどんな職業でも同じことですよね。    
 そんなことを考えながら夜の宴会に突入し、久々に飲みすぎてしまった。 (林 隆)


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NO.253 (2006.07.19) 『「見わたす家(松本市)上棟」』
 土地さがしの段階からご相談をいただいて、候補地を何ヶ所か見せていただいた。
施主さんも一時は、「もう条件に合う土地はないのかもしれないね。土地さがしだけで疲れちゃったね。」
というような心境だったと、7/15の上棟時に話題になった。
 時間をかけて見つけた土地は、松本市街を”見わたす”ことのできる高台にある。
設計コンセプトも、その敷地の特性を最優先に考えた。
いつものことではあるが設計の途中では、いろいろなものが欲しくなるし、いろいろなことをしたくなる。
施主さんも私も。 しかしもしそこで混乱したりコンセプトが揺らぐ場合は、思いきってフィードバックして
一番何をしたいのかを見直してみることも必要である。建築を決する段階なのだから。
 そんなプロセスを思い出しながら、2階の居間から外を眺めてみた。 (林 隆)


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NO.252 (2006.07.13) 『「凝縮した家(塩尻市)」竣工』

 7/8に竣工を迎え、引渡しが行なわれた。
ご家族全員がいかに合理的に効率よく快適に暮らしていけるかを、施主さんと共に考えて、議論して、
いろいろな場面を想像して、空間と形態ができあがった。必要なことは大切にして、
なくてもいいものは思いきって削ぎ落とす、そんな暮らし方に対する想いを”凝縮した家”である。 
 1階の共用ゾーンには玄関を兼ねた土間空間があり、居間の延長としてつながっている。
2階の個室ゾーンは、階段や収納の位置関係を工夫して領域を区分している。
そして 1〜2階をつなぐ吹抜けには大きな開口部を設け、障子の開閉によっていろいろな
シーンを演出することができる。
 子供さんの成長とともに各空間の使い方が変化していくことも想定しているが、
その時々でいろいろな工夫をして協力し合って、暮らしていただけることを願っている。 (林 隆)

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NO.251 (2006.07.04) 『「庭を内包する家(長野市)」竣工』
 建物が庭を包み込むようなイメージで、敷地全体の有効な配置を考えた。
南側の隣地にも将来家が建つことが予想されることから、コートハウス型の配置計画になった。
1階の中庭と2階の屋上庭園は壁に囲まれていて内部空間とも気持ちよくつながっている。
また、駐車スペース・玄関へのアプローチ・中庭・屋上庭園などの外部空間が建物と一体になり、
それぞれがほどよく関連し合っている。
 1階部分はRC造、2階部分は木造という混構造で、外断熱工法を採用することにより、
室内側にコンクリート打放し壁や木造の小屋組などの構造体を、意匠的にそのまま見せている。
構造上のふところ寸法を最小限におさえることにより、建物全体の背が低くなり街並みの中に
落ち着いた印象を与えている。
 芝生とシンボル的な樹木によって構成された植栽工事をして、その後6/14に引渡しと取扱い説明
が行なわれた。 (林 隆)

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