今週のコラム バックナンバー(No.100〜No.91)


No.100 (2003.03.04) 『内藤廣氏の講演』
 週に一度書いています「今週のコラム」が100回目を迎えました。毎日の実務の中で充分な時間が取れず、
わけのわからない「ひとりごと」になっていますが、いつも読んでいただきましてありがとうございます。
 今の事務所の状態はといいますと、何件かの春着工予定の住宅設計を同時進行でさせていただいています。
スタッフ一同、深夜まで悪戦苦闘の連続で、私達が今一番ほしいものは「時間」です。
 そんな中で一昨日の日曜日、建築家・内藤廣氏の講演会(演題:「土木と建築の融合」)に行ってきました。
真夏の暑い日に、竣工したばかりの「海の博物館」を見て強烈な印象を受けたのは、もう10年近く前の
ことになります。それ以降の作品や進行中のプロジェクトの紹介の中で、
「安曇野ちひろ美術館」では、”敷地に対していかに低く構えられるか”という約50案に及ぶスタディーの結果、
あの切妻の連続屋根が生まれたこと、
「牧野富太郎記念館」は、6000uの建築を山の中の敷地に造成をせずに埋もれるように配置したこと
など、地形や風土の中での建築の在り方に対する考えを聞くことができました。
 また、世界の人口が今63億で100年後には100億を越えると言われ、日本の人口は100年後には
半分になって6000万人強の人間が島国に暮らすことになるようです。そのうちの7割が都市部に住む
ということは、中小の都市も含めて日本中つくりかえなければいけなくなるかもしれない、という考えには
興味をもちました。
第一線で活躍している建築家のパワーを見せてもらいました (林 隆)   

所員の独り言
 東京の方では昨日、春一番が吹きました。これで少しづつ暖かくなっていくのかと思いきや、
今日のこの冷え込みです。もう少し寒い日が続くのかもしれません。
 しかし、3月に入り、新しいスタートの時期が近づいてきているのも確かです。
毎年この時期になると一年を振り返って、来年度に向けての目標を決めています。
そうして、自分が向くべき方向をきちんと見定めながら、日々を送っていきたいと思います。(村山 崇)


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No.99 (2003.02.25) 『建築の構造計画』
 建築の計画がはじまる段階で、構造をどのような方式にするかという検討をします。
住宅の場合、一般には木造軸組工法が多いのですが、その他にも鉄筋コンクリート壁式構造や
鉄骨造を採用するケースもあります。更にそれらの構造を併用した「混構造」もあります。
 それぞれの構造の特徴を生かし、意匠の中に構造のもつ力強さを表現できるように計画をして
いきたいと考えています。構造的な役割を担う素材の特徴・質感をデザインとうまく融合させること、
今の私の大きなテーマです。
 コンクリートの大きな円弧壁に沿った階段、4500スパン・階高4000の木造無柱空間、鉄骨の螺旋階段、
木製の大きな開口部、スキップフロアーをつなぐ鉄骨階段、大きなトップライト、18坪の木造最小限空間、
などに挑戦中です。 (林 隆)   


所員の独り言
 私たちの生活の周りに、様々な職種の職人さんたちがいます。
長年使い、錆びきってしまったおろし金を新品同様に修復してしまう職人さん。
昔の天井や建具についた煤を洗い落とす、「洗い屋」の職人さん。
しかし昨今の時代背景を受けて、年々職人さんの数も減ってきているようですが、海外の方にも
自慢が出来る職人技は沢山あると思います。私は、目新しいモノへと意識してしまうのですが、
これまでの文化や文明を作り上げた職人技を学び、今後へ再考してみたいとも思います。(長岡 信行)


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No.98 (2003.02.19) 『HP、マイナーチェンジ』  
 ホームページの構成を少し変えてみました。
トップページにあるコンテンツを系統別にまとめたことと、「設計から竣工までの流れ」と「設計監理料について」
というような独立したページを設けました。作製中のページもありますが、今まで曖昧だった部分をできるだけ
わかりやすくまとめていきたいと考えています。
 また、毎週の更新は火曜日に行うことにしました。よろしくお願いいたします。(林 隆)

所員の独り言
 先週、2級建築士の免許の交付が行われ、
松本周辺の合格者が集まって、40人程で行われました。
今年の合格率は23%程でしたが、参加者を見てみると
私より若い人もいれば、結構上の人もいて、かなりの年齢層の幅がありました。
私も含めて、みんな照れ笑いを浮かべながら免許証を受け取っているのを見ていると
なんだか初心に返ったような気持ちになり、
今まで以上に気を引き締めて頑張っていこうと思いました。
 (村山 崇)

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No.97 (2003.02.12) 『建築の保存問題』
 マスコミが建築の保存問題を取り上げるケースが増えてきています。
そんな中で、(社)日本建築家協会 関東甲信越支部は下記の日程で、「保存問題長野大会」を開催します。
ぜひご参加いただければと思います。林は2日間にわたり、書記・報告書担当として写真を撮ります。
テーマ】 住民に支持される保存とは
【サブテーマ】 地域社会で望まれる建築家の役割
【スケジュール】2003年2月22日(土):須坂まちなみウォッチング
                  23日(日):善光寺界隈と信毎本社ビル見学 +保存問題シンポジウム
【会費】 @フル参加(懇親会・宿泊共)20000円、 A見学のみ(資料共)4000円、 Bシンポジウムのみ:無料
【お問合せ】 (社)日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会事務局 TEL 026-232-3897
歴史的建造物が数多く現存する須坂、取り壊しが決まっている信毎本社ビル、ぜひご参加下さい。(林 隆)

所員の独り言
 閑静な住宅街の中に、昔ながらの佇まいを残した住宅を見かけることがあります。
例えば屋根は瓦葺、壁は下見板張りだったりします。そこには大抵、縁側があって、
開放的なかわりに、生垣がぐるっと囲んでいたりします。そんな緑の柔らかいスクリーンでも
十分、プライバシーを保つことが出来ていたように思えます。限られた敷地の中でも
建物だけでなく、出来る限りの植栽とを合わせて計画する事が必要かと思いました。(長岡 信行)


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No.96 (2003.02.03) 『2階リビング案』
 住宅の計画をする際に、居間・食堂・台所をどの階に設けるかという議論があります。
都市型住居で隣地が密集している場合は、1階での採光を確保しにくいためLDKを2階に設ける
ケースは少なくありません。その他の場合でのLDKを2階に設ける場合のメリットは、眺望を生かすことや
地上部分からのプライバシーを守ることでしょうか。
 現在、実施設計中の2件の住宅は、まさに”眺望のための”2階リビング案です。
「重なるデッキのある家」(豊科町)は1・2階に重なり合う6畳大のデッキを持ち、2階の居間やデッキからは
安曇野の田園風景を一望することができます。
「木曽谷を一望できる家」(大桑村)は、家の中心に螺旋階段がありその階段を上がると、2階はワンルームの
LDKです。東・南・西の3方向に木曽谷の大自然を見下ろすことができます。
 建築設計は、”敷地の特性”を読み”その場”のもつ力をいかにして建築と融合させていくかという検討から
はじまります。状況によっては、南側に開くのではなく北側に大きな開口部を造ることもあり得るでしょう。
各階の構成も既成概念にとらわれない柔軟な発想により、豊かな建築空間が創り出されるように思います。 (林 隆)


所員の独り言
 2003年も1ヶ月が過ぎたところで、風邪をひいてしまいました。
そこであらためて思ったのが、こういう時でもないと身体に気を
使うことがあまりないということです。
まぁ、普段から気を使っていれば風邪をひくこと自体がないのかもしれませんが・・・
もう少し自分の身体を労わってあげようと思った週末でした。 (村山 崇)

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No.95 (2003.01.27) 『建築と環境
「黒い箱の家」が、優秀賞をいただいた、第6回長野県建築文化賞(審査委員長:近江栄氏)の総評が
発表になりました。 以下が、審査委員の藤本昌也 氏(建築家)のコメントです。

 「標高1600mの敷地、そこを取り込む素晴らしい自然環境と見事に応答する建築の<解>を
見つけ出すことが、設計上の最大の課題であった。建築の形態と色彩、建物のレベル設定などに
確かな<解>が見出されているが、とりわけ、道路側に見せる屋根と一体となった ”環境壁” とも言うべき
直裁な自立壁は、環境との応答の鍵となる秀逸の<解>となっている。
 建築は環境の一部である。故に環境との応答は自然環境に限らない。今回の設計者が、これからの
建築士にとって必要不可欠の課題と考えられる建築が集合する ”街中環境” との応答にも、多くの成果を
収めることに期待したい。」
 日常の設計活動の中で取り組んでいる大きなテーマですが、更に深く考えていきたいと思います。(林 隆)

所員の独り言
 家の中には部屋と部屋を区切る間仕切の境界があります。また、外部と内部の境界など、
家にはいろんな所に境界があります。境界は、適度に必要なものであり、造り方によって
微妙に外と内が繋がったり、離れたりもします。特に、外壁の境界を設ける事により、
外と内とを分けて考えてしまう事があります。外もインテリアの延長として、更に町そのものも
大きなインテリアとして、単に外と内を分断する境界線を引いてしまうのではなく、外からの繋がり、
内からの繋がりとしての境界のあり方を再考してみたいと思います。(長岡 信行


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No.94 (2003.01.20) 『ホームページ 50000アクセス達成
 林建築設計室のホームページは、1998年の11月に開設して以来、おかげさまで
50000アクセスを達成することができました。 多くの方にご覧になっていただきまして、
またそれがご縁で設計のお仕事をさせていただけたケースも多くなって参りました。
改めまして、大変感謝申し上げます。
 そこで、新たな情報発信源としまして、ホームページの全面リニューアルを考えています。
事務所の情報を今まで以上にわかりやすく、内容も深いものにしていきたいです。
そして、ただでさえわかりにくいと言われています設計事務所の実態を、できるだけ知っていただきたいと思います。
現場の紹介など、他の設計事務所も同じようなことを始めているケースが増えてきましたので、
新しい試みも思案中です。が、時間がどんどん過ぎていってしまう毎日です。
 ホームページに対するご意見・ご感想、こんなことをやってほしいというようなご希望等がございましたら、
ぜひお願い致します。 
(林 隆)

所員の独り言
 暦の上では今日は「大寒」で、1年の内で一番寒い日ということになります。
最近では、家の中の環境が常に快適に保たれるようになり、
どこかに出かける時も、車の中というある意味室内ということが殆どという中、
寒さ ・ 暑さ等といった外気を感じる機会が減ってきてしまっています。
そんな中でも、朝の出勤前に深呼吸のひとつでもして、
自然環境のうつろいを身体で感じていきたいと思いました。 (村山 崇)


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No.93 (2003.01.14) 『事務所の環境
 新しい事務所で仕事をはじめまして、ほぼ1ヵ月が過ぎました。
そこで課題になっていることは、書類や身の回りの整理法です。
パソコンの中のデータ、プリントアウトした図面や書類、手書きのスケッチや図面、その他
いろいろなものが各プロジェクトごとに増えていき、設計中だけでなく工事が始まって竣工する
頃には膨大な量になります。
 そんな中で、「各自の机の上には、今取り組んでいる仕事以外の物は、一切置かない」という
目標を掲げ、はじめてみました。誰でもどこの机でもフリーに仕事ができる、という形が理想型です。
常に整理をしようということですが、これからどうなることでしょうか。私が一番無理がありそうですが。
打合せにお越しいただいたお施主さん、そのへんを厳しくチェックして下さいね。
 (林 隆)

所員の独り言
 最近、定規を当てて手書きで図面を描くということが少なくなりました。かと言って、
パソコンの画面の中でマウスを動かしながらアイデアを練ることも、多くはありません。
ただでさえ回転の遅い私の脳は、手を全くフリーにして動かすことでアイデアを考えるように
出来ているようです。「手で描く」という手法を大事にして表現の向上を図り、
更なる空間造りへ挑戦してゆきたいと思います。 (長岡 信行)


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No.92 (2003.01.07) 『新しい年を迎えて 
 2003年がスタートしました。
アッという間にお正月休みも終わってしまいましたが、久しぶりの連続した休日をいただき、
のんびりすることができました。
 今までもそうだったのですが、建物の基本設計が終わる頃、コンセプトに基づいて 「○○の家」
というような建物の名称を付けさせていただいています。パターンは3種類。
@建築的特徴を表す名前 A立地・環境の特殊性を表現する名前 B地域名による名前 に分類されます。
 今年も、そのコンセプトを明快にして「あたりまえだけれども、いいもの」 を創っていきたいです。
家づくりのコンセプトを見出すために、そして個々の空間を構成していくために、
つながる、結ぶ、囲う、取り込む、重なる、開く、閉じる、というようなキーワードについて
じっくり考えてみたいです。その上で、オリジナルデザイン・性能・コストの合理的な融合、
新たな可能性に挑戦していきたいと考えています。
 今現在、春の着工に向けて何件かの建物の設計をさせていただいています。
本年も、全力で創り続けます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 (林 隆)

所員の独り言
 新しい年が始まりました。
新年を迎えて思うことは、時間に追われて過ごしてしまうことが多い中、
心にゆとりを持ち、常に広い視野で物事に対応していきたいということです。
そういうことの積み重ねが、より良いものへと繋がっていくと思うからです。
本年も、よろしくお願い申し上げます。(村山 崇)

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No.91 (2002.12.31) 『サヨウナラ。2002年
 今日で2002年も終わりです。
この1年間で9件の建物が竣工し、新しい暮らしを始めていただくことができました。
それぞれの建物には、お施主さんとの長い長い家づくりのプロセスがあり、そんな大事な部分の
お手伝いをさせていただけましたことに対し、大変感謝申し上げます。

竣工した1件1件の建物は、私にとって”すごく大切なもの”で、その建築がどのように年をとっていくのか、
これからずっと、遠くから見守らせていただきたい心境です。
 また、林建築設計室の新しい事務所もできあがりました。快適な環境の中で、来年以降も更にいい建築を
創っていきたいと思います。長岡・村山ともども、今年1年間お世話になりまして本当にありがとうございました。
 来る2003年も輝かしき年でありますように。 (林 隆)

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