今週のコラム バックナンバー(No.140〜No.131)


NO.140 (2004.01.20) 『「住まう」とは?』
 本を見ていたら、次の詩があった。
いつも家をつくる時、考えていることかもしれない。(林 隆) 

「地球という星の家で」 (長田 弘)
朝の、光。
窓の外の、静けさ。
おはよう。一日の最初の、ことば。
ゆっくりとゆっくりと、目覚めてくるもの。
熱い一杯の、カプチーノ。
やわらかな午前の、陽差し。
遠く移ってゆく季節の、気配。
花に、水。
眠っている、猫。
正午のとても短い、影。
窓のカーテンを揺らす、微風。
<わたし>の椅子。<わたし>の机。
忘れられた価値を思い出す、本。
竜やかいじゅうたちの、絵本。
パンの神の午後の、音楽。
樹上の鳥の鋭い、声。
高い、青い、空。
沈む陽の、箭(や)。
すべて昏れてゆくまでの、一刻。
夜のための小さな、明かり。
月下の仄かな、闇。
住まうとは幸福な一日を追及することだと
<わたし>は思う。<あなた>は?

所員の独り言
 私たちの身体には、周囲の環境を感じる感覚として、目、耳、鼻、舌、手触りといった五つの感覚があります。
目、耳は見る・聞く。鼻は匂いを嗅ぎわけ、なぜその様な匂いがするか考える。そして、舌を使い聞く。
最後は手触り。自らの手を動かし、自分でやるということです。自らが体験し、体に覚えさせ、
そこから、「驚きや発見」を感じ取る。自分の全てを総動員して、多くの「驚きや発見」が見つけられるよう、
更なる向上を図りたいものです。(長岡 信行)

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NO.139 (2004.01.13) 『新しい年』
 松本では今日の午後から、今年初めての雪が降っている。その厳しい寒さの中、工事中の3件の現場では
着実に工事が進められ、事務所内では、春を待って着工する何件かの設計が進行中です。
 構造と機能が融合した空間づくり、木・鉄・コンクリートなど素朴な素材のデザイン化などをテーマにして、
居心地のいい空間、気持ちが豊かになるような空間、シンプルで美しい空間とは何かをじっくり考えていきたいと思う。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 (林 隆)

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NO.138 (2003.12.31) 『「ぶどう園のある家」竣工』 『「吹抜を囲む家」上棟』
 12/20には、「ぶどう園のある家」が竣工した。
敷地内には、歴史のある土蔵・門・塀が残っており、家の北側にはぶどう園がある。
その大切な財産を守りながら、敷地全体計画の中で住居部分が造られた。おおらかな勾配の切妻屋根、深い軒、
そしてシンプルな架構を力強く表現し、主構造には長野県産の杉材が使われている。
居間・食堂を中心にご家族全員が集い、家全体に人の気配が感じられるような家になっていってほしい。
 12/23には「吹抜を囲む家」が上棟した。
予定していた初日が雪のため一日遅れのスタートとなったが、二日目以降は天候に恵まれ無事上棟を迎えた。
家の中央に吹抜があり、それを囲むようにして2階にはオープンな空間が配置されている。建具の開閉により
吹抜を介して1・2階が一体となるおおらかな空間が姿をあらわし、来春の竣工に向けて工事が進んでいる。

 いよいよ今日で2003年が終わります。

今年も家づくりをさせていただきました。今、2004年の年賀状を見ながら今年竣工した建物のことをふりかえっています。
お施主さんの思いがいっぱい詰まった家づくりの、そのプロセスを共有させていただけたことは、物づくりをする私にとっては、
何よりも幸せなことでした。この1年間お世話になりまして本当にありがとうございました。スタッフ一同感謝申し上げます。
 来る2004年も輝かしき年でありますように。 (林 隆)


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NO.137 (2003.12.16) 『「円なる教会」上棟』
 コンクリート打放しの曲面自立壁が建ち上がり、その後鉄骨の建て方が行われた。RCと鉄骨の混構造。
駐車スペースと人を優しく迎え入れるための長いアプローチの検討から生まれた配置計画。
直線と曲線を組み合わせた建物の輪郭は、前面道路側にいろいろな表情を見せてくれている。
本当に必要な機能を探し求め、たくさんの思いがいっぱい詰まった建築がいよいよ姿をあらわし、来春の竣工
にむけて工事が進んでいる。 (林 隆)

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NO.136 (2003.12.09) 『美しいと思ったこと』
 「雪の華」という曲 (林 隆)

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NO.135 (2003.12.02) 『「スキップフロアーの家(塩尻市)」竣工』
 大規模な造成地の中の2面道路角地、道路が緩やかに傾斜しているため敷地周囲4面には段差があった。
道路や隣地との接し方に工夫をし、建物を東西に二分し床をスキップさせた。その結果生まれた内部空間は
5層(ロフトを含めて)になり、各階・各機能の独立性とつながり方をほどよくバランスさせることにより、楽しさや
リズム感を演出することができた。
 
家全体が、象徴的な階段を中心に縦方向につながっている。4層目の子供スペースからは、階段と吹抜けを経て
1層目の居間を見下ろすことができる。家族にとって生活スタイルの変化、子供さんの成長など”時間の経過”とともに
主に使っていく建築空間をフレキシブルに想定している家でもある。楽しく自由に暮らせる家であってほしい。(林 隆)

所員の独り言
スキップフロアーの家」では、隣接する住宅地の中でも、スキップフロアーと大きな吹き抜けとによって
広々とした室内空間が生まれています。
常々感じていた、絵画・ディスプレイ・・・と、私たちの周りのあらゆるものの演出のキーワードとなる[空白の美」

の重要性を再確認させられました。 (田中美樹)

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NO.134 (2003.11.25) 『リビング信州2004』
 毎年秋に、長野県内の住宅を紹介する雑誌 「リビング信州2004(信濃毎日新聞社)」が発売になる。
今年は「デッキを取り込む家(豊科町)」を掲載していただき、居間の写真が表紙にも使われている。
 お施主さんと巡り会い、長い時間をかけて設計が進み、そして工事期間を経て住まいが完成し、そこで
新しい暮らし・新しい家の歴史が始まる。こうして”家づくりの記録”として雑誌に取り上げていただくと、たくさんの思いが
いっぱい詰めれた家づくりのプロセスが思い出される。
 取材にもご協力をいただいたお施主さん、工事に携わっていただいた多くの方々、そして雑誌製作でお世話になった方々
に対しまして、改めて感謝申し上げます。 (林 隆)

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NO.133 (2003.11.18)  『「木曽谷を一望できる家(大桑村)」竣工』
 北側に隣接するご両親の家、緩やかに傾斜する地盤、南側に大きく開ける眺望、山並みを背景にした恵まれた自然。
昨年の春はじめて敷地を見た時、敷地の置かれている周辺環境と建築とを、いかにして融合できるかを考えた。
自然に背を向けるのでなく溶け込むような外観、そして周囲の静かで澄んだ空気と、室内が一体となるような大らかな
開放感を目指した。
 家の中心に螺旋階段を置き、2階の床は丸く切り取られている。その廻りには居間、食堂、台所、畳コーナー、
ワークスペース。2階に上がった瞬間、目の前には大きなガラス越しに大自然が現われる。春の新緑、風が涼しい夏の夜、
秋の紅葉、極寒の雪景色、季節の移ろいを感じながら
2階には人が集い、いつも賑やかな場所であってほしい。
 外壁は、黒の左官塗り壁。はじめて挑戦したこの色は板金の黒とはまた違う優しい雰囲気があり、自然の中に溶け込んで
いるように思う。意外なことにこの色は主張がなく、シンプルな形態をひきたててくれている。
 (林 隆)

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NO.132 (2003.11.11) 『豊田市美術館』
 11/8、愛知県で用事があったため、なんとか時間をとって2時間ほど見学することができた。
いつか見たいと思っていながら、もう何年も過ぎてしまった谷口吉生氏設計の大型美術館。
軽快で本当に美しい空間構成、優しい光の演出、外構から建築の細部に至るまで計算しつくされたディティール、まさに
建築そのものが芸術作品であった。建築家のエネルギーが力強く伝わってきて、気持ちのいい時間を過ごすことができた。
 トップページのNEWSでもご案内している、「あすなろ建築展」が開催中。JIA日本建築家協会・長野県クラブ会員の
作品展で、ぜひ県内の建築家の日頃の仕事を知っていただきたいと思う。私も出展していて、11/30(日)10:00〜14:00は
会場係をしています。ぜひお越しください。 (林 隆)

所員の独り言
「木曽谷を一望できる家」の竣工が近づいてきました。仕上げが全て終わり、今までお施主さんや施工業者の方たちと
たくさんの打合せで積み上げてきたものが、体感できる形となって眼前に広がります。
 お施主さんをはじめ、工事に関わってくださった全ての方々に誇りに思ってもらえるような建物をみんなで一緒になって
つくっていきたいと思います。 (村山 崇)

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NO.131 (2003.11.04) 『東京モーターショー2003』
 今回のテーマは、「いま、挑む心。Challenge&Change ー希望、そして確信へー」 
強行スケジュールと思わぬ渋滞のため、なんと到着が17:30。1時間半だけの見学になってしまったが、
さすがにその時間帯の会場(幕張メッセ)内は普通に歩けるくらいの混み方だった。
 個人的には、GOLF-X、BMW-X3、Z-カブリオレ、ワゴンRのデザインに興味があった。ぜんぜん違うジャンル
ではあるが、それぞれ機能とデザインが融合し究極の機能美だと思った。私のALFA156をはじめて見たのは6年前
のこの会場、その頃と比べてプレゼンの仕方がすごく変わっているようにも思った。とにかく、ただただ格好よかった。
 建築・まち・都市を考える時、車は大きな要素で、デザイン・機能・環境などすべでの面において将来の予測すらできない。
住宅設計においても、駐車スペースのあり方、車に対する思い、趣味性など、建築におおいに影響する興味深い部分でもある。

 今事務所では、ガレージにフェラーリがおさまる予定の住宅の計画が進行中である。 和の要素とイタリアンデザインの
融合を目指している。 (林 隆)


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