今週のコラムバックナンバー(No.150〜No.141)


NO.150 (2004.04.13) 『着工準備中』
近日中に着工予定の建物の設計が完了した。  
・森の小屋(長野市)
・風の流れる家(上田市)
・趣味の広がる家(南安曇郡三郷村)
・外と向き合う家(松本市)
昨年から長い時間をかけて、建築主と共に夢を語り、オリジナルな工夫がいっぱい詰まった空間を考えてきた。
秋の竣工が今から楽しみである。
今事務所では、春の後半そして秋着工予定の建物の設計が始まっている。 (林 隆)

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NO.149 (2004.04.06) 『「北に開く家」(松本市)竣工しました。』
 新年度を迎えました。
松本は、暖かい昼間と肌寒い朝夕の繰り返しの毎日ではありますが、着実に春を感じます。
机に向かっているだけでなく、どこか外に飛び出したい心境でもあります。
 3/30には「北に開く家(松本市)」が竣工しました。
敷地の西に前面道路、南側には2階建ての隣家が接近しており、北と東は畑とビニールハウス、台形の変形敷地
という立地。現在の周辺環境の中で、外部から独立した「個の空間」を守り光や風を充分に取り込むこと、
また仮に将来南側の家が改築し敷地境界ギリギリまで寄っても、変わらない住環境を維持し続けていけることを重要視し、
それをクリアーすることが今回の計画の最大のテーマだった。
 その答えは、建物を南に寄せて北側に開くことだった。一般的な敷地のゾーニングとはまったく逆の発想であり、
建ぺい率の関係で生まれたスペースを、壁で大きく囲まれた「コート(中庭)」にした。そこは「外部」ではあるが、
周辺に対しては「内部」とも言える空間である。コートに導入される「光と影」は時間の流れと共に姿を変え、
室内に多様な表情を見せてくれる。
 居室は北又は東に向いていて、南に向いている部屋はひとつもない。大胆なゾーニングではあるが、象徴的なコートと
随所に配置されたトップライトの効果で、明るく気持ちのよい空間を創ることができた。
建築空間は3次元であるが、そこに「時間」という軸も同時に考えていくことが大切であることを再認識した。 (林 隆)  


所員の独り言
 新年度が始まりました。
公私共にステップアップしながら一歩ずつ進んでいければと思います。
私事になりますが、先月末に結婚式を挙げました。
多くの方からお祝いのメッセージをいただきました。本当にありがとうございました。
これからの生活をどのようなものにしたいのか、またはどうしていくべきか、
改めて考えていきたいと思います。 (村山 崇


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NO.148 (2004.03.16) 『横河健氏の講演会』
 3/13に建築家・横河健氏の講演会が、(社)日本建築家協会 JIA長野県クラブの主催で長野市にて行われた。
2時間におよぶ講演の中で、スライドによる建築作品の紹介と実務上の貴重な体験談を伺うことができた。

ドアノブから家具、住宅、そして大規模な建築までの設計を手掛けていて、そのどれもがもつ洗練されたシャープな
美しさを改めて見せていただいた。 「身体に近いものほどデザインには気を使う。」というお話が印象的だった。
(林 隆)

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NO.147 (2004.03.09) 『薪ストーブ』
 暖房方式にはいろいろな選択肢があり、それぞれの特徴の中から何を優先するかによって方向性が決まってくる。
選択の基準としてはたくさんの要素がある。たとえば熱源を何にするか、便利さ、快適さ、扱いやすさ、安全性、楽しさ、
ランニングコスト、イニシャルコスト、などなど。
 住宅の設計をする時に、薪ストーブを検討するケースが多い。生活スタイルによって、それを主暖房にする場合と
サブの暖房と考える場合があるが、いづれにしても人にとって最もシンプルでわかりやすくて楽しめる暖房かもしれない。
暖かい室内、外は雪、炎を見ながらお酒をいただく、ゆったりとしたチェアーがほしい、勝手にいろんなことを想像する
だけでも楽しい。
すごく早いペースで時間が過ぎていく現代社会の中で、そんなゆとりがもてることはうらやましくも思う。
 現在事務所では、居間食堂空間のほぼ中央に薪ストーブを置く住宅の設計が終わろうとしている。
その薪ストーブは四方から見えるので、一般的な”正面と裏”ということではなく、デザイン的にはどこからでも炎が
見えるようなイメージがベスト。そんなことを考えながら、オンリーワンのオリジナル薪ストーブに挑戦することになった。
 (林 隆)   

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NO.146 (2004.03.02) 『機械の寿命』
 突然自宅のお湯が出なくなった。灯油の給湯ボイラーの故障で、どうやら寿命らしい。  
給湯や暖房などが自動化されて当たり前のように生活しているが、ひとつでも歯車が狂うと大変な思いをする。
一番困るのは、やはりお風呂かな。私達の身の廻りで、電気・ガス・灯油の何かが一時的になくなったり、
主要な機械が故障したら、ほとんど生活できなくなるかもしれない。建築の中には、「いつかは壊れる電化製品」が
たくさんあることを改めて考えさせられた。
 愛車のALFA156が5年目の車検を受けた。走行72000Kmでマイナートラブルが少しづつ出てきて、多少剛性が
落ちてきたように思う。もう傷がいっぱいでタイミングベルトは2回も交換し、MTは疲れることもあるが、まだまだ大切
にしていきたい。 (林 隆)   

所員の独り言
 天窓。私の仕事場の天井面には天窓があります。日中は全般照明が必要でない位の明るさで、
差し込む日差しの光景により、季節感や時間の流れを感じます。また、窓を開けると
屋根を通り抜ける風が心地よく入ってきます。壁に設けた窓と違って、空の四季の表情を垣間見たとき、
心安らぐ心地良さや楽しみを感じます。あまり見上げてばかりはいられません。
素晴しい環境の下、日々精進しなくてはと思う今日この頃です。(長岡 信行


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NO.145 (2004.02.24) 光と影
 今日、ある雑誌掲載用の写真撮影をしていただいた。
そこで写真家の方から、
被写体・背景・影の3要素」のバランスが大切で、その中でも”影”の演出が難しい
ということを教えていただいた。光が入り影ができる。建築空間を考える上でも強く意識していきたいと思う。 

 所員の田中美樹が先週いっぱいで退職いたしました。残念ではありますが、これからも新たな道でおおいに
がんばっていってください。
お施主さんをはじめお世話になりました皆様方に御礼申し上げます。
(林 隆)

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NO.144 (2004.02.17) 春着工予定の住宅
 松本でも、日中は暖かく感じられる日があるようになってきた。今事務所では、春に着工する予定の何件かの
建物の設計が進行中。木造・鉄骨造・RC造と、空間にふさわしい構造形式を選択して、市街地・住宅地・高原という
ような立地の特性に応じたデザインも求められている。
 基本設計が終わって実施設計に移る頃、「○○の家」というような名前を決めているが、最近は結構悩んでしまう
ケースが多い。(建築主の方へ)決定が少し遅れていますが、もうちょっと待ってくださいね。スミマセン (林 隆)
    

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NO.143 (2004.02.10) 『階段は奥が深い』
 家のことを考えていく上で、すごく大事な要素のひとつが階段。
階段の位置は家全体の動線計画の要であり、上下階の移動という機能性だけでなく、デザイン性と安全性の
バランスも求められる。勾配・材料・手摺のあり方、また直線・折れ返し・螺旋・スキップフロアーをつなぐ短い階段
など形態も含めてトータル的に計画が進められる。
 現在工事中の家では、ササラ部分を細い鉄骨トラスで構成した直線階段、厚さ120mmのRC片持ちスラブの
階段などが姿を現わしてきた。また現在設計中の家では、踊り場部分を細い鉄筋で吊る構造の折れ返し階段、
空中に浮いたイメージの薄く軽い階段などに挑戦中。完成後には写真をUPしていきますのでお楽しみに。 (林 隆)


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NO.142 (2004.02.03) 『ホームページについて』 
 先週は、おもしろい設計事務所のHPを見つけた。
設計から竣工までの流れ・設計監理料などのページの構成と内容が、林建築設計室とまったく同じで、
誰が見ても同じHPに見えたでしょう。
偶然にも2件、松本市と富山県。ご本人達の意識の低さには驚いたが、即刻アップを停止していただいた。
 私も今のホームページを5年間にわたって築いてきた中では、
たくさんのHP・本・人からのアドバイスをおおいに参考にしているし、部分的には似た表現もあるかもしれない。
建築の設計もいろいろな物づくりも、同じことかもしれない。まったく無からのスタートはなく、歴史や環境・先人の知恵
があり、その上でオリジナリティーを創造している。
 全国にいるネットの仲間からもアドバイスをいただいたが、私もこのように思う。
ネットの世界では、いいと思うものはどんどん参考にして真似していただいてもOK。大事なことは程度の問題で、
複写・転載は製作者の了解が必要かなと。
 「酒でも飲んで2日酔いになって忘れろ。」「盗むより盗まれろ。」とも言われた。
そんなふうに気楽に考えることにした。 (林 隆)


所員の独り言
 今年の春に着工しようとしている建物の計画が着々と進んでいます。
おそらく建主さんにとって、自分たちの家を創っていくという事は、
一生に一回という人達がほとんどだと思います。
 私達は計画から竣工までの流れは何回も経験することは出来ますが、
それぞれの建主さんたちと一緒に、その人達のための世界に一軒しかない
家を創っていけるのはその時だけです。
 1軒1軒みんなが本当に納得のできる家を創っていけるよう
これからも頑張っていきたいと思います。 (村山 崇)


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NO.141 (2004.01.27) 『建築家の情報発信』
 ある方から、次のようなご意見をいただいた。
「建築家はもっと情報発信をすべきではないか。そうすればもっと依頼が増えるのに。
ハウスメーカーによる家が圧倒的に多い今の情勢に満足しているのか。」 と。 

 建築家のことをもっと知っていただくこと、個々の建築家が質の高い建築を創っていくこと
この2点は重要だと思う。しかし、PRだけしても本質的な中味が伴っていなくては意味がなく、
今の私達にできることは、1件1件いい建築を創り続けていくことであると考える。  

 ハウスメーカーさんによる家づくりもいい面はあるし、それを否定するつもりもありません。
ただ、
ハウスメーカーさんと私達の仕事はまったく土俵が違うのです。 (林 隆)    

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