今週のコラム バックナンバー(No.80〜No.71)


No.90 (2002.12.24) 『「大屋根の家」・「作業土間のある家」が上棟しました。
 今日はクリスマスイブ。早いもので今年もあと1週間を残すのみですね。
12月にはいり、2軒の住宅が上棟を迎えました。いずれも来春竣工予定の家です。
 「大屋根の家」(箕輪町)は、居間と食堂部分の大きな吹抜けが特徴。片流れの屋根勾配なりに
内部の天井が構成されていて、階段・薪ストーブ・ワークスペースなどが、そのおおらかな空間を
案出しています。見上げても見下ろしても、気持ちのよい開放感を味わうことができそうです。
 「作業土間のある家」(茅野市)は、木造平屋の矩形平面でシンプルな切妻屋根。
低い軒と深い庇が創るバランスは、周囲に点在する輸入住宅系の建物とはまったく違う
表情を見せてくれるものと期待しています。 (林 隆)

所員の独り言
 最近は、突然の雪が降ったりと自然の変化に驚いてしまうと同時に、
寒さや暑さ対策の準備が不足し、後悔をしてしまう事が多いです。以前の住宅は、
季節の変わり目に建具の入れ替えをしたりと、住宅内部のしつらえを変えることで
季節を取り込んでいたようです。最近は、スイッチ一つで暖かくもなり涼しくもなる、
思いのままの環境が出来上がります。快適な住環境ではありますが、四季を感じる余裕と
自然との共生を考えてゆきたいものです。(長岡 信行)

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No.89 (2002.12.17) 『「4層コートのある家」(松本市)、竣工しました
 RC壁式構造3階建ての住宅。敷地の特性から、「内に開いて外に閉じる」というコンセプトの家です。
屋上も含めて4層のコートを包含していて、それぞれのコートが上下につながることにより空間の広がりを
演出しています。
 1階はタイル貼りのピロティーと植栽スペース。
2階には木製のデッキがあり居間と寝室に隣接。3階には屋上庭園。
そして最上階の屋上は360度パノラマの展望台。各階には光や風が入り、樹木を眺めることもでき、季節や時間の
変化を体感できます。1階の外周はコンクリートの壁に囲まれていますが、中庭には雪も雨も降ります。また、
1階のゲストルームにある大きな窓(中庭に面する北側の窓)からは直射日光が入ります。なんと2階の居間の
窓ガラスに反射した光が1階まで届くのです。
 コンクリートの型枠がはずれ内部の空間構成がわかるようになった時の、あの感動は今でも忘れません。
居心地のいいスペースが何ヶ所もあり、お施主さんと共に設計段階でのプロセスを語り合いました。
時間を忘れてしまい、最後にもう1度星空を見上げて帰ろうとした時には、朝の3時を過ぎていました。 (林 隆)

所員の独り言
 先週の金曜日に、二級建築士の合格発表がありました。
なんとか合格することができ、現在登録の申請書類を揃えているところです。
大学を卒業して、すぐに受験資格があるにもかかわらず、何年か受験せずに
過ごしてしまい、今年絶対受かりたかったので、自分の番号を見付けたときは
とても嬉しかったです。この調子で一級も・・・。といきたいところですがそうも甘くなさそうなので、
気合入れて頑張っていきたいと思います。  (村山 崇)

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No.88 (2002.12.10) 『「みどり湖の家」(塩尻市)、竣工しました
 今日建物のお引渡しをさせていただきました。玄関の鍵がお施主さんに渡り、私もこれからは
自由に建物には入れなくなるという、複雑な気持ちになる1日です。 
塩尻市のみどり湖団地(長野県住宅供給公社)内に建つこの家の計画は、運良く土地の抽選に当った
直後、昨年の10月からスタートしました。そして約半年の設計期間を経て、今春着工。
 敷地の南と東方向に視界が開けていて、その一番いい場所に居間とタタミコーナーを L型に配置しました。
居間の吹抜け部分に階段を設け、2階に上がったその場所はオープンな子供スペース。将来は建具で
仕切れるように対応しましたが、当面は多目的に使えるホールです。工事中の9月に誕生した二人目の
お子様といっしょにはじまる新しい暮らしは、このホールが活躍しそうです。また、珪藻土の壁に作った
ご家族4人の手形は、いい記念になることでしょう。
 取扱いの説明が終わった12時頃、急に晴れてきて、
昨日からの雪景色の中で、漆喰の外壁の”白”がすごく輝いて見えました。

 12/6には、第6回長野県建築文化賞(長野県建築士会 主催)の発表がありまして、
「黒い箱の家」(茅野市、2000年12月竣工)が、優秀賞(住宅部門)を受賞いたしました。
この賞は2年に1度開催され、長野県内の建築物を対象に行われます。審査は
近江  栄(日本大学名誉教授)
藤本 昌也(褐サ代計画研究所 代表取締役)
宮本 忠長(宮本忠長建築設計事務所長)
林  太一(長野県建築士会会長) の4氏により行われました。
 蓼科高原の山の中にひっそりと建つ、28坪の小さな建物が評価されましたことを、大変嬉しく思います。
明快なコンセプトを私といっしょに作り上げてくれたお施主さん、28度の急斜面での大変な工事に携わって
下さいました工務店さん、お世話になりまして本当にありがとうございました。
設計者だけでなく、建築主、施工者の3者が表彰されることになりました。 (林 隆)

所員の独り言
 イメージを膨らまして設計をしてゆく際に、体験して実感した事を生かしながら
決めてゆく事があります。生活体験の積み重ねが実感となり、新たな実現を促していると思います。
新しい事務所に引越しをしてから1週間余りが過ぎ、毎日新しい発見と体験をしています。
時間と共に表情を変えてゆく建物の中で、建物から得た体験を今以上に生かせるよう、
努力してゆきたいものです。(長岡 信行)

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No.87 (2002.12.03) 『「二棟を行き交う家」(岡谷市)、竣工しました 
 日曜日にお引渡しをさせていただきました。
敷地の中央に1.5mほどのレベル差があり、2方向の道路からのアプローチが可能な敷地に建つ
2世帯住宅です。2世帯の共用部分は、玄関・居間・浴室。各世帯ごとに分かれている部分は、
ダイニングキッチン・洗面・洗濯及び物干しスペース という構成。
 基本設計段階で最も大事にした点は、各世帯の繋がり方と離れ方です。大人4人がひとつの建物で
暮らすということは、いろいろな場面が予測されます。実際に住みはじめての発見もたくさんあるでしょう。
設計段階から現場での相談まで、ほとんど4人のお施主さんが一緒に打合せに参加して下さり、
各世帯の暮し方について考えていただきました。そして、その中で私もいろいろ教えていただきました。
 お引渡しのセレモニーの最後に、親世態の奥様がおっしゃいました。「この家づくりを通じて、家族の
コミュニケーションを図ることができた。」と。そんな家づくりのお手伝いをさせていただけたことは、なんと
幸せなことかとつくづく思い、建築を超越しての仲の良いご家族の暮らしが目に浮かんでくるようでした。

 11/28に、林建築設計室の新しい事務所に引越しをしました。まだ外構工事をしておりまして、内部もぜんぜん
片付いていませんが、仕事をはじめました。新しい環境の中で、今まで以上にいい建築を創らせていただこうと
思っております。工事に際しましては、本当多くの方々のお力により造っていただきました。
この場をお借りしまして、御礼申し上げます。ありがとうございました。  (林 隆)

所員の独り言

 事務所の引越しが無事終了し、新しい場所で仕事を始めて数日が過ぎました。
自分達がつくっている仕様の建物の中で実際に過ごしてみて始めて気付く部分も
多々あり、良い経験にもなっています。これからさらに良いものをつくっていく為の良い
基準にしながらさらに気合を入れてやっていきたいと思います。  (村山 崇)
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No.86 (2002.11.25) 『「御岳山を望む家」(岐阜県)、竣工しました
 昨年の2月から設計のご相談をさせていただき、設計期間1年を経て、今春着工していました
「御岳山を望む家」(岐阜県・すずらん高原)が、11/23に竣工しました。
木曽福島町から開田高原を通る山越えルートで、現場までは片道3時間をかけて現場監理も
させていただきました。
 南に御岳山、東に乗鞍岳を望める傾斜のある敷地で、鉄骨造のフラットな架台を組みその上に
木造2階建ての建物が乗るという構成。居間の吹抜けを介して建物全体が連続した空間で、
すべての窓から季節の変化を感じることができるように計画しました。
 自然に溶け込む色彩や形態、多雪寒冷地における外部のメンテナンスなどを考慮した結果、
外壁はガルバリウム鋼鈑(濃いグレー色)、屋根と軒裏もガルバリウム鋼鈑(シルバー色)のシンプルな
切妻屋根になりました。
 お引渡しの当日、京都からご家族でおみえになったお施主さんは、玄関に入ると同時に歓声をあげて
喜んで下さいました。私たち設計する者にとってすごく嬉しい瞬間でした。 (林 隆)

所員の独り言

 木の器、木の道具や木の家具を生活用品として集めるようになりました。
木目を見ながら、この木はどれだけ生きているのだろうと考えてしまいます。
拭けば拭くほどいい味が出てくる木の生活用品は、作られたばかりの時よりも、
年月を経て、より一層魅力的なものになります。その木が、生きてきただけの年月は使い込み、
大切にしてゆきたいと思います。 (長岡 信行)
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No.85 (2002.11.18) 『「作業土間のある家」 実施設計完了』

 
「作業土間のある家」(茅野市)が来週から着工します。
平屋建て・切妻屋根のおおらかなプランで、作業土間をもつことが大きな特徴です。
夏は農作業の作業場として、冬は車庫として機能するよう計画しました。
年内に上棟まで、来春竣工の予定です。
 トップページのNEWSでもご案内していますが、来週末に事務所の移転を行います。
週末に打合せのお時間があまり取れないため、お施主さんにはご迷惑をおかけしておりまして、
申し訳ございません。12月からは新事務所にて、打合せ等をお願いできればと思いますので、
よろしくお願いいたします。 
(林 隆)

所員の独り言
 11月も半分が過ぎ、朝夕の寒さが身を刺すようなものになってきました。
長野県でも早いところではスキー場開きが終わったところもあります。
松本で雪が積もるのを見るのもそう遠い事ではないかもしれません。
今年こそは、雪が降る前にスタッドレスタイヤに履き替えようと心に決めた
休日の夜でした。 (村山 崇)
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No.84 (2002.11.11) 『木曽には雪が』
 昨日は、岐阜県すずらん高原の「御岳山を望む家」の現場へ行って来ました。
木曽経由で山越えをするのですが、開田高原から先はなんと雪。
11月中に竣工する建物の軒先にはつららができていて、いくら今年の冬は早いといっても、
まさか11月10日に雪を見るとは驚きでした。
 その後、山梨県小淵沢町に用事があり移動。そこは一転して快晴で、秋のドライブ日和。
同じ別荘地でもまったくの別世界を見た、スタッドレスタイヤをはいての400Kmの旅でした。
 先週は、「逸品.com」の森本社長の話をお聞きする機会がありました。
ネットビジネスの第一人者としての経験談には迫力あり、エネルギーをもらうことができました。
そろそろホームページのリニューアルをしたいと考えていますが、体裁ではなくやはり中味が
一番大事であることも再認識できました。 (林 隆)

所員の独り言
 最近、体が鈍くなってきたので、健康のためにと少しでも歩く事を心がけていますが、
車の方が何かと便利でついつい乗ってしまいます。自宅も同様に、何故かしら
便利だからと買い揃えてしまう、家電製品や健康グッズで溢れています。
溢れかえった家のものがどれだけ必要なのか。本当に必要な、数少ないもので
生活する暮らしを考えてみたいです。 (長岡 信行)
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No.83 (2002.11.06) 『時間が・・・・・。』
 今週はどうしても時間がとれなくて、すみません。(林 隆)

所員の独り言
 先日、現場で作業をする機会がありました。
作業の内容は内部の柱 ・ 梁の磨きです。
やり方はいたって単純、サンドペーパーでこすっていくだけです。
しかし、職人さんがやったところと私がやったところでは何故か差が出てしまいます。
職人さんがなんでもなさそうにこなしていく作業のレベルの高さを
改めて知ることの出来た一日でした。  (村山 崇)
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No.82 (2002.10.29) 『ながく住む家(塩尻市)、竣工しました』
 10/26(土)にお引渡しをさせていただきました。
多少の残工事がありますが、今週中に整備をさせていただきまして、
11/2にはお引越しの予定だそうです。
 今回の計画は、30坪でいかに豊かな空間ができるかということへの挑戦でした。
細長い平面形の総2階。2階のLDKには建具が1台もなく、1階の個室エリア
には間仕切りの障子はありますが、開放すればオープンな空間になります。
外観的には、階高をできるだけ低くおさえてバランスを保ち、漆喰壁による、
シャ−プでシンプルな表情を演出しました。 (林 隆)

所員の独り言
 一つの物件で現場監督さんをはじめ設備の担当の方、
職人さんと多くの方々にお世話になります。私のような若造に
親切に納め方を教えてくれたり、お忙しい時間の中,親身になって
相談を聞いてくださる現場に携る方々には、いつも感謝しています。
現場で声をかけ、感謝をお伝えしてゆきたいです。(長岡 信行)
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No.81 (2002.10.21) 『「守り続ける蔵」が竣工しました』

 先週は、「守り続ける蔵」(松本市新村)が竣工しました。
場所は、松本大学の南側の通りから南方向に見える民家の敷地の一角です。
今年の春から工事をしていました古くなった土蔵の再生工事で、約2週間の
準備期間を経て、11/3(日)には、喫茶店「楽蔵(らくら)ぴあの」としてオープンします。
室内にはピアノが置かれ、薪ストーブによる暖房を考えています。
 また大屋根の家(箕輪町)の地鎮祭が行われ、いよいよ着工です。年内に上棟までを
予定しています。
 11月発売予定の「リビング信州」の原稿の最終校正が明日までですが、
先ほど日が変わりましたので、今日中になんとかせねば・・・・・。(林 隆)

所員の独り言
 先日、お施主さんと一緒に床の塗装を行う機会がありました。
そこに住む人が自分自身の手で家をつくり上げていく瞬間に立ち会える、
貴重な体験ができました。引越しが終わって、実際に住み始めてから
本当の意味で、「家」づくりが始まります。住む人にとっても家にとっても
一番楽しい時間の始まりだと思います。  (村山 崇)

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