見上げ・見下ろしの視点を意識する【仕事術】1-10
林隆のコラム
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住宅を新築する敷地は、山沿いの傾斜する地形の中にありました。
建築の設計に入る前に、造成計画・外構計画の検討を重ね、結果的には、地面の土を移動して敷地の一部のレベルを低くすることによって、建物周辺の環境を整えることができました。
昔から敷地内にある石垣・池・小川・井戸などの景観要素を活かす
さてどんな家を目指すのか。この家づくりのテーマは、次の3項目でした。
①傾斜地の特性を活かしつつ、昔から敷地内にある石垣・池・小川・井戸などの景観要素を保存、一部改修をしながら豊かな外部空間をつくり、自然と共生できる家
②敷地のレベル差と室内のレベル差を活かした豊かな断面構成
③眺望を活かし、庭とつながる快適な居住空間
自然と共生する家
造成工事として、建物が建つ部分の敷地レベルを1mほど掘り下げることにより、遠くから見える建築全体のフォルムを小さくし、道路から建物へ至るアプローチの傾斜も緩くなりました。更に2階の居間と庭を近くすることもできました。
外部の階層(5段階のレベル差がある敷地)と内部の階層(4層のスキップフロアー)が有機的に結ばれ、建築が大地に中にとけ込むようなイメージの敷地全体のゾーニングになっています。
見上げ・見下ろしの視点を意識し、豊かな外部空間を創る
敷地の全貌と複数の建物を同時に見渡すことはできませんが、各所からの見上げ、見下ろしの視点を意識した敷地の全体計画でした。
建築の設計は、建物だけでなく外構も同等に重要です。
竣工後に振り返ってみると、その外構計画の役割が極めて大きく、建築1/2、外構1/2というようなプロジェクトでした。
林建築設計室・林 隆