- 2019年
- ■日本建築家協会(JIA)優秀建築選2019・100選 「里山の庵」(筑北村)
(審査委員:淺石優、木下庸子、ヨコミゾ マコト、後藤治、橋本純)敬称略
- 2015年
- ■第12回 長野県建築文化賞【住宅部門】/優秀賞「階層の家」(松本市)
(審査委員:富永譲(委員長)、出澤潔、関邦則)敬称略
【評価】敷地や予算の設計与条件に恵まれている点で、相当なアドバンテージをもらっているような印象もあるが、巧みなプランニングや行き届いたディテールなどは豊富な実績から生み出されたものであろう。スキップフロア構成は敷地の状況からの発想のようであるが、室内空間に変化をもたらすだけでなく、外部とのつながりをも大切にした妙案だと言える。クオリティの高さを体感させてくれる素晴らしい出来栄えとなっている。その優等な完成度に加えて、ひょうげたる創作マインドやイマジネーションもほしいなどと考えるのは欲張りすぎる注文であろうか。 (関 邦則)
■第12回 長野県建築文化賞【リノベーション部門】/優秀賞「流れを生むリノベーション」(北安曇郡池田町)
(審査委員:富永譲(委員長)、出澤潔、関邦則)敬称略
【評価】築後20年ほどの住宅の取り扱いにあたっては、時として予算面で悩ましい択一を迫られると思うが、ここでは旧居住者である両親の愛着もあって、骨組みを活かした全面改修が選択された。改修された住宅は、既存建物からの束縛を全く感じさせず、もしかしたら新築しても同じプランになったのではないかと思うほどの完成形となっている。古民家の再生ならぬ中古住宅の再生というところか。建築主にとっては満足な回答と思われるが、その見事さゆえに建築としての物足りなさを漂わせてしまうのも否めない。手法にとどまらないリノベーションとは何なのか。 (関 邦則)
■松本市 景観賞/部門賞 「北深志の家」
【評価】敷地内の二世帯、古い建物と新しい建物、そして住居空間と道路空間をそれぞれ良く考えられたちょっとした空間で繋いでいます。
古くは武家地であったまちなみを保ちながらも、前面に駐車場を確保しアプローチと一体化した空間とすることで、内と外を自然と繋げ、上手く開放感を生み出しています。新しい建物は、色、高さ、壁面、屋根など 周囲と合わせまち並みに馴染みつつ、表と裏の使い分け、白・黒・茶のコントラストなど、単体でもバランスがとれています。
現代の隣り合わせの二世帯をつなぐ良いお手本となると評価されました。
- 2014年
- ■第2回 家づくり大賞/部門賞(快適空間賞)「階層の家」(松本市)
■松本市 景観賞/部門賞 「三角屋根の家」
【評価】両隣に良い佇まいの家が並び、向かいに公園があるなど、恵まれた周辺環境に立地し、前庭の木々の木漏れ日の奥にリビングが見える様子や、2階の階高を落とした三角の屋根に抱え込まれたスケール感など、落ち着いた空間になっています。また、カーポートをセットバックして植栽を引き立てたり、あえて建物へのアプローチ部分を明確に設けないことで、静かな住まいを演出しています。この雰囲気の演出は、植栽による影響が大きいと思いますので、素晴らしい空間をこれからも維持していただくためにていねいに手入れされることを期待します。
- 2013年
- ■第11回 長野県建築文化賞/優秀賞 「結ぶ小さなコートハウス」(松本市)
(審査委員:内藤廣(委員長)、出澤潔、関邦則)敬称略
【評価】市街地の大変厳しい立地条件を克服して設計者の意図が見事に実現していることがこの住まいを体感してよく分かる。 狭小な敷地に設けた中庭は室内空間のそれぞれに接し街に開いている。外の空間である中庭はこの住まいの中心となり、内的空間のようにも感じる。 居間の一部に設けた中間領域としての「個のゾーン」は、家族からの隔離した居場所ではなくお互いの中でのそれぞれの居場所となり、暖かさと優しさを持つ空間となった。 皆が寄り集まる場の中にそれぞれの居場所を持つ仕組みは、「住まい」にだけでなく「社会」にも必要なことなのかもしれない。 (出澤 潔)
■第1回 家づくり大賞/部門賞(生活多様化賞)「重なる柱状の家」(安曇野市)
■松本市 景観賞/最優秀賞 「階層の家」
【評価】かつて寺院があった立地環境を巧みに生かし、昔からある斜面地形、石垣、池などの優れた景観要素を保全、または必要に応じて補修しながら空間づくりをしています。 重厚な石垣とバランスが取れるように建物の外壁素材、工作物のシルエットが考えられており、誰もが憧れるような空間構成となっています。 外部からは敷地と複数の建物全てが同時に見渡せることはありませんが、見上げ、見下ろし等、それぞれの景観にまとまりを感じられ、それらの視点を意識して設計されていることが分かります。 高台の家のひとつのいい見本となっていることを評価し、最優秀景観賞としました。
- 2012年
- ■日本建築家協会(JIA)優秀建築選2012・100選 「らせんの家」(松本市)
(審査委員:斎藤公男、三宅理一、大森晃彦)敬称略
- 2011年
- ■2011年度グッドデザイン賞 「らせんの家」(松本市)
(審査委員:難波和彦(委員長)、千葉学、手塚由比)敬称略
【評価】螺旋状にスキップしていく空間は、住まいにたくさんの居場所を生み出している。 家族皆で一緒に過ごすことも、時に一人で静かにいることも自由にできるような居心地の良い空間は、住まいの本質を突いたものである。
■第10回 長野県建築文化賞/奨励賞 「重なる柱状の家」(安曇野市)
(審査委員:東利恵(委員長)、出澤潔、関邦則)敬称略
【評価】この住宅の魅力は内部空間の構成にある。 家族4人の居場所と関係性をそれぞれの居場所を通常の住宅の機能とは別に作り、この3つの空間を立体的に家の中心にはめこむことで全体の空間のつながり方や独立性を計っている。 父、子供、母の各居場所は高さを変えながら、居間に面しており、家族の気配が常に感じられる計画になっている。家族の関係を家がサポートするという空間設計がうまい住宅である。 (東利恵)
- 2010年
- ■第31回 INAXデザインコンテスト/入賞 「重なる柱状の家」(安曇野市)
(審査委員:木下庸子(委員長)、内田繁、中村好文、久留島豊一)敬称略
【評価】第31回 INAXデザインコンテスト/入賞 「重なる柱状の家」(安曇野市) 父、子ども、母の居場所が、レベルを変えて、独立した空間を持っている。 それぞれが居間の吹抜けを介して緩やかにつながっており、スキップさせた空間構成が面白い。
■日本建築家協会(JIA)優秀建築選2010・100選 「重なる柱状の家」(安曇野市)
(審査委員:松隈洋、石堂威、斎藤公男)敬称略
■2010年度グッドデザイン賞 「重なる柱状の家」(安曇野市)
(審査委員:難波和彦(委員長)、高橋晶子、手塚由比)敬称略
【評価】小さなボリュームに分節化された黒い木貼りの外観が森の中にうまく溶け込んでいる。 小さな窓をいくつかとっているが、森に囲まれた立地なのでもう少し外に開いてもいいのではないかと思う。
- 2009年
- ■2009年度グッドデザイン賞 「黒い筒の家」(富士見町)
(審査委員:難波和彦(委員長)、高橋晶子、手塚由比、西沢立衛)敬称略
明快な構法とシンプルな平面、ユーモラスで特徴的な外観などに特徴がある。 特徴的な外観といっても、環境に馴染んだ自然さを感じさせるところに、設計の力を感じる。 形から想像される造形上の表裏と、実際の使い勝手としての表裏が見事に逆転している点も巧みである。
■第9回 長野県建築文化賞/優秀賞 「黒い筒の家」(富士見町)
(審査委員:元倉真琴(委員長)、古谷誠章、出澤潔)敬称略
【評価】豊かな自然に開きアプローチ側に閉じる、ひと並びのシンプルな空間。 この単純な構成がこの家の持ち味である。 道路側から一段上がって室内にはいると、そこは四季折々の森の斜面を独占するかのような静かな世界となり、大きく湾曲するカラマツ集成材の連続が内部空間にリズムを生み出す。 平面の中央に置かれた水回りなどの閉じた空間が、空間全体を緩やかに二分し、自然にそれぞれの場所を生み出している。この家の居間にくつろいで、窓先にやってくる小動物や小鳥を眺める生活はとてもうらやましい。 (古谷誠章)
■第9回 長野県建築文化賞/奨励賞 「軽井沢S邸改修」(軽井沢町)
(審査委員:元倉真琴(委員長)、古谷誠章、出澤潔)敬称略
住まいは人の生活の変化を受け止められなくなった時、その命の終焉を迎える。 「S別荘」が新しい所有者を得て、新しい生活を受け止めようとした時、新しい生命を与えられる事となった。 四季を通して非日常的な山荘生活を楽しむ生活空間にリニューアルするため、設計者は構造的補強や温熱環境の整備を極めてシンプルに計画し、実現した。 そして43年間生き続けた外観をそのまま残し、この地の想い出を伝え続けようとした。 設計者の高い識見と技量により「S別荘」は新しい生命が吹き込まれ、見事に蘇った。 設計者はこのプロジェクトを通して、「社会的資産として生き続ける建築」と「敷地と建築の良好な関係」「素直な平面計画と断面計画」について思いを深くした、とコメントしている。 この事は建築に対する姿勢の原点をあらためて我々に教えてくれているように思える。 (出澤潔)
- 2008年
- ■日本建築家協会(JIA)優秀建築選2008 「黒い筒の家」(富士見町)
(審査委員:馬場璋造、中川武、松隈洋)敬称略
■松本市景観賞 「活動する家」
【評価】外構と建物のバランスのよい作品です。特に派手さはないものの、多種にわたる植物を上手く配置し、道路との境界に自然石を配した庭が、印象を柔らかくしています。 建物、空間も大きなものを一塊にするのでなく、内部の空間に合わせて細かく建物を分けることで、ボリューム感が抑えられていると思います。 この区画整理地の手本となり、緑豊かな住宅地が形成されることを望みます。 (石井信行)
- 2007年
- ■第28回 INAXデザインコンテスト/審査委員特別賞 「見わたす家」(松本市)
(審査委員:木下庸子(委員長)、會田雄亮、中村好文、山中潤一)敬称略
【評価】”見わたす家”は”普通の家”であろうとして、普通以上の魅力を獲得した住宅だと思います。 「家はオーソドックスにつくればいい」という考え方が、そのまま素直に表れているところを評価したいと思いました。 注意深く図面を読み込んでいくと、配置の仕方、方位と眺めに対する考え方、よく考えられた水回りの位置などにも気付かされ、この住宅の住み心地の良さが実感されます。 2階で南東側をたっぷりと開き、眺めを積極的に取り入れているところもこの住宅の大きな見どころです。 奇をてらったところは全くありませんが、暮らして楽しい家になっています。 そこがこの作品の優れたところだと思いました。 膨大な数の作品を1日で審査していると、何度も何度も見直しながら回っているうちに、ふと「あ、この作品!」という出会いがあります。 それはコンセプトが強く訴えかけてくるとか、写真が美しいという作品とは少し違って、次第に味わいが増してくる住宅なのです。 生身の人間が365日暮らし、かつ長い年月を暮らす・・・それにちゃんと対応できる住宅をきちんと評価していかなければいけないと、私は常に考えています。 (中村好文)
■第8回 長野県建築文化賞/優秀賞 「つながる家」(南佐久郡小海町)
(審査委員:元倉真琴(委員長)、古谷誠章、出澤潔)敬称略
【評価】抑制のきいたシンプルな箱形空間で、木造ながら南面をかなり大胆に開放的に扱ったデザインが痛快である。 大形のテラス戸による大開口を得意としている設計者のようであるが、一連の他の作品の中でも、この住宅は隣接する母屋との関係が、その空間や視界のつながりに積極的な意味を与えていて、説得力があった。 同じ風景を共有して並び建つ2世帯住居は、得てして二つの家の関係だけに関心が 向いてしまいがちな親子の家の関係を、より穏やかなものにするだろう。 緑のある環境の中での黒い外観は、決して悪いものではない。 (古谷誠章)
■ふるさと信州の住まいコンクール/奨励賞 「軒下空間を愉しむ家」 (筑北村)
【評価】シンプルで美しい!そしてモダンである。 「あんな家に住んでみたい!!」という声が聞こえてきそうである。 そっけない程シンプルな外観の中には、きっと「木の香り」豊かな劇的な空間が用意されているに違いない。 そんな内部を開陳して見せて欲しいと思うのは私一人だろうか? そして、このようなオシャレな家が「信州の木」でできることをもっと積極的にアピールして欲しいものだ。 何故ならば、「信州の木をもっと使いましょう」と声高に喧伝するより、まず、誰が見てもこの例のように内容・デザイン共に素晴らしいものをつくること。 それに県産材がうまく使われていれば、普及の一番近道のはずだから・・・。 そうすれば、信州の木や山は救われる。 (松下重雄)
■松本市都市景観賞 「HA-49」
あえて駐車場の前に芝生を植えるという大胆な発想と、前面道路の急な坂道と、 セットバックしたことによる前庭の絶妙な空間の和を高く評価しました。 街並みを切るという前庭の配置は、どこにおいても成り立つというものではないですが、本作品においては連続する坂道の街路景観に敢えて穴を空けることにより、街路の特徴をあらわにしています。 (石井信行)
- 2005年
- ■第7回 長野県建築文化賞/優秀賞 「北に開く家」(松本市)
(審査委員:伊東豊雄(委員長)、古谷誠章、林太一)敬称略
【評価】若い夫婦と幼児、3人の核家族のための住まいである。 狭い前面道路に面した変形敷地、しかも南側には隣家が迫っている。 この難しい敷地条件に対して、南側を敢えて閉じるという思い切ったデザインで内向した空間をつくることに成功している。 外周に沿った直線の壁と、内側に大きく湾曲するコンクリート壁との対立という単純な構成に基づいて平面が規定されている。 最も印象的なのは北東部に彩られたコートヤードで、わずかな緑が南からの光を受け、さらに背後の壁からの光の反射によって柔らかで静かな内部空間を生み出している。 しかし余りにも環境から閉ざされ、内部の生活感が見えてこない点が気がかりに感じられた。 (伊東豊雄)
- 2004年
- ■松本市都市景観賞 「吹抜を囲む家」
- 2003年
- ■第6回 長野県建築文化賞/優秀賞 「黒い箱の家」(茅野市)
(審査委員:近江栄(委員長)、藤本昌也、宮本忠長、林太一)敬称略
【評価】標高1600mの敷地、そこを取り囲む素晴らしい自然環境と見事に応答する建築の<解>を見つけ出すことが、設計上の最大の課題であった。 建築の形態と色彩、 建物のレベル設定などに確かな<解>が見出されているが、とりわけ、道路側に見せる屋根と一体となった、”環境壁”とも言うべき直裁な自立壁は、環境との応答の鍵となる秀逸の<解>となっている。 建築は環境の一部である。 故に環境との応答は自然環境に限らない。 今回の設計者が、これからの建築士にとって必要不可欠の課題と考えられる建築が集合する”街中環境”との応答にも、多くの成果を収めることを期待したい。 (藤本昌也)
■松本市都市景観賞 「守り続ける蔵」(喫茶・楽蔵ぴあの)
■松本市都市景観賞 「HAアトリエ」(林建築設計室アトリエ)
■第6回 豊科町景観賞 「重なるデッキのある家」
■第6回 豊科町景観賞 「デッキを取込む家」
- 2001年
- ■第5回 長野県建築文化賞/優秀賞 「ふたつの塔の家」(松本市)
(審査委員:近江栄(委員長)、内井昭蔵、宮本忠長)敬称略
【評価】提出された資料によれば、明快なコンセプトが主張される家族像をイメージしてみたが、現地を訪れて、ふたつの塔の融合部分に工夫があり、外観から受ける分離した印象は克服されていた。 教職を定年退職された両親も、隣接する家族に見守られながら自主的な生活を確保しているので満足されていた。 外観の印象は暗緑色が強すぎる気配もあるが、現地で陽光を浴びた昼間の色彩は程よいことを確認し、敷地のゆとりある配置に植栽が有効に機能し、周辺の環境を引き締めている。 おそらく新しい家族像の在り方として話題となろう。(近江 栄)
- 1999年
- ■第4回 長野県建築文化賞/奨励賞 「大きな吹抜けのある家」(伊那市)
(審査委員:近江栄(委員長)、内井昭蔵、宮本忠長)敬称略
ごく平凡であるが居住者の立場に立って考えられた平面のように感じられた。 全体的に安定感があり場所性に立脚したよい住宅と思う。 (内井昭蔵) 間取りの扱い方が良い。生活ゾーンと接客ゾーンとの空間処理、すべて基本に忠実である。 素材・ディティールに多少、大あじのところは残念。 しかし外観、周囲との調和など奨励賞に値する佳作。 (宮本忠長)