あなたの居場所はどこですか?【仕事術】1-2
林隆のコラム
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「家族4人それぞれの小さな居場所がほしい。」
この言葉が、設計が始まった時の大事なキーワードでした。
一般的な住宅には、皆が集う居間と各自の個室がありますが、今回の計画では、その中間的な位置づけとしての居場所を創ることが、暮らし方をデザインしていく上で重要であると、対話を重ねていくうちにわかってきました。
スキップフロアーの家
さて、プランにどのように反映させていくのか。各自の居場所は、居間から完全に独立しているのではなくて緩やかにつながっていたい。
この曖昧な関係を平面図に落とし込むことは難しく、最良のプランと言うには何かが足りない。
ある打合せの日に、思い切って発想を変え、「断面から平面へとフィードバックする」高さに変化のある空間構成(スキップフロアー)を提案しました。
各自の居場所の「独立性」と、お互いを感じ合える「関係性」の両立
その提案は、①半地下にご主人のスペース(書斎のイメージ)、②中2階に子供さんのスペース(机や本棚あり)、③2階に奥さまのスペース(多目的室)があり、居間の吹抜けを介して3つの領域がつながるものでした。
今まで設計条件として守ってきたいくつかの要素をフリーにしたのです。
クライアントさんは最初は驚かれましたが、視線が斜めに抜けるこの空間の魅力を活かすことに。
この日から一気に最終プランへと発展し、各自の居場所の「独立性」と、お互いを感じ合える「関係性」を両立させることができました。
設計の段階では、お互いにとっての既成概念を解きほぐし、多くの条件の中から優先順位の整理をしていくことがとても重要であると考えます。
林建築設計室・林 隆