三角屋根のお家がいいな!【仕事術】1-8
林隆のコラム
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「三角屋根のお家がいいな!」最初の打合せでクライアントからお聞きした希望でした。
この言葉には、平面的にも外観的にもシンプルで合理的な建築でありたいという、この家のコンセプトと言える想いが込められていたのです。
建設地は長野県松本市。道路の反対側には公園がある閑静な住宅地の一角です。
三角屋根の家に込めた家づくりへの想い
家づくりのテーマとして、①公園との向き合い方、②緩やかにプライバシーを守りつつ使い回し可能な個室群のあり方、③混構造(RC造+木造)の表現方法について考えました。
低く抑えたプロポーションと、公園に向く妻面の開放的な形態によって、街に対して優しい表情になっています。
1・2階共に「室内〜庭〜道路〜公園」へと直線的に貫く軸線をつくり、そこに室内の各機能が付随する明快な動線計画です。
時間の経過や生活スタイルの変化に対応できる居住空間
2階は個室エリアですが、視線をカットしながら、人の気配を感じ合える場所になっています。
ひとつながりの空間を、ブースで仕切るイメージで個室(子供室、寝室、多目的室)が並び、緩やかにプライバシーを守っています。
4.5帖の空間を6単位つくり、時間の経過や生活スタイルの変化に対応できるように、自由にローテーションしながら暮らしていくことを想定しています。
また、外断熱工法により構造体を室内側の仕上げ材として表現することができました。1階はコンクリート打放し、2階は1間半毎に繰り返す木造の架構をそのまま見せるデザインです。
道路側には、住宅・ガレージ・玄関へのアプローチが面していますが、あえて塀やファンスは造らずに雑木的な植栽を施しています。
道路の両サイドが緑豊かな空間として育っていくことを願っています。
林建築設計室・林 隆