床レベルが螺旋状にスキップする家【仕事術】1-7
林隆のコラム
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低層住宅が建ち並ぶ通りにある敷地は、南北に細長い形状で、東西の隣家はかなり接近していました。
敷地の北寄りに駐車スペース、南に庭、その中央に建物というシンプルなゾーニングまではすぐに決まりましたが、空間構成のスタディーは何回も繰り返され最終案に到達しました。
平面で仕切るのではなく、断面で仕切るという発想
2階建てのコンパクトな住宅ですが、半地下と中2階をつくることによって、家全体が4層に分かれています。
この家は、あえて段差をつくったのです。敷地に傾斜があるわけではないので、一般的にはバリアフリーであることが求められる住宅事情の中で、逆行する発想かもしれません。
平面的に仕切るのではなく、断面的に仕切るイメージです。
家族皆でいっしょに過ごすことも、時には一人静かに居ることもできる
床レベルが螺旋(らせん)状にスキップしていくことにより、性格の異なるいくつかの居場所を生み出し、人の気配を感じ合いながら暮らしていけることを目指しました。
見え方・隠れ方を強く意識した空間です。家族皆でいっしょに過ごすことも、時には一人静かに居ることもできます。
象徴的な大階段は上下階を緩やかにつなげ、そこには人が集まって腰掛け、会話をしたり、お茶を飲んだり、新聞を読んだり。そして子供達の遊び場にもなります。
玄関アプローチ〜室内〜庭へと視線が一直線に抜け、敷地をフルに貫く軸線があり、そこからスキップする床構成へと展開していることも大きな特徴です。
林建築設計室・林 隆